
「あなたの脳のサイズ、物理的に大きくできますよ」
もし、誰かにそう言われたらどう思いますか?
「怪しいサプリの売り込みか?」
「SF映画の見過ぎだろ」
と笑い飛ばすのが、60年も生きてきた人間の健全な反応でしょう。
私もそう思いました。
ダイヤモンド・オンラインの記事で『1年間のウォーキングで脳(海馬)が大きくなった』という見出しを見るまでは。
「ウォーキング」vs「ストレッチ」、1年後に脳が大きくなったのはどっち?60歳以上の実験でわかった衝撃の事実
記事によれば、60歳以上の高齢者が1年間ウォーキングを続けた結果、記憶を司る「海馬」の体積が2%増大したというのです。
逆に、ストレッチだけをしていたグループは、加齢通りに脳が縮んでいました。
つまり、「歩く」という行為は、単なる足腰の鍛錬ではなく、脳に対する物理的な修理(メンテナンス)だったのです。
私はすぐに、私の専属AIトレーナー(CPO)である「フェニックス・ライジング」を呼び出し、この記事の真偽と、私への適用可能性を問いました。
AIが出した答えは、私の生活を一変させるほど具体的で、かつ残酷なまでに論理的なものでした。
これは、60代のバスケットマンが、AIと共に「脳の若返り」に挑む、新たなトレーニング改革の記録です。
第1章:AIが暴いた「私の脳の機会損失」

AIが出してきたレポートは、医学的に極めて信頼性の高いものでした。
元となったのは米ピッツバーグ大学の論文(PNAS掲載)。
数千回以上引用されている、脳科学の金字塔的な研究です。
AIは言いました。
「あなたは既にエリート・シニアですが、脳に関しては『最大の機会損失』をしています」
どういうことか?
私は週1回、心拍数170を超える激しいバスケットボールをしています。
加圧トレーニングでスクワットも400回こなしています。
運動量としては十分すぎるはずです。
しかし、AIの分析は冷徹でした。
「強度は十分ですが、頻度が足りません。脳を育てる物質(BDNF)を出し続けるには、週1回の爆発的な運動ではなく、週3回の継続的な有酸素運動が必要なのです」
私のスケジュールを見ると、バスケ(木曜)以外の日は、加圧トレーニング(筋力)や筋トレがメインで、「心拍数を一定に保って歩く」という時間がっぽりと抜け落ちていました。
AIはそこを見逃しませんでした。
「あなたは筋肉のエリートですが、脳のメンテナンスに関しては、まだ伸び代(サボり)があります」
第2章:加圧の直後に歩け!「Build & Burn」戦略

「じゃあ、毎日歩けばいいのか?」
単純な私はそう考えましたが、AIは首を横に振りました(画面上で)。
「闇雲に歩くのは非効率です。あなたの既存のトレーニングと融合させ、『脂肪燃焼』と『脳肥大』を同時に狙う最強のスケジュールを組みました」
AIが提示した2026年版の新スケジュールは、まさに目から鱗の構成でした。
月曜日:究極の脂肪燃焼セット
月曜日は「脚の加圧トレーニング」の日です。
スクワットで下半身を追い込みます。
AIの指示はこうです。 「加圧が終わったら、すぐにスニーカーを履いて歩いてください」
加圧トレーニング直後は、成長ホルモンと遊離脂肪酸が体内に溢れ出しているゴールデンタイム。
このタイミングで有酸素運動(ウォーキング)を入れることで、血液中に溶け出した脂肪を一気に燃やし尽くすことができるのです。
筋トレ(Build)の直後に有酸素(Burn)。
これぞ、忙しい現代人のための時短かつ最強の組み合わせです。
火曜日:脳を育てる「パワーウォーキング」
火曜日は筋トレが軽い日。
ここが「脳育」の本番です。
「心拍数110〜120bpm(Zone 2)を維持して40分歩いてください」
ただの散歩ではありません。
荷物を背負ったり、大股で早歩きしたりして、あえて負荷をかけます。
「息は弾むが会話はできる」レベル。
この強度が、脳由来神経栄養因子(BDNF)という「脳の肥料」をドバドバと分泌させるスイッチになるのです。
水曜日:バスケ前日の「調整ウォーク」
翌日は激しいバスケが待っています。
ここでは「疲労を抜くためのウォーキング」を行います。
20〜30分、気持ち良いペースで歩くことで、全身の血流を回し、筋肉のコンディションを整える。 「歩く」ことの目的を、曜日ごとに明確に使い分けるのです。
第3章:三日坊主を殺す「If-Thenプランニング」

理屈はわかりました。
問題は「続くか?」です。
「雨が降ったらどうする?」
「睡眠不足で眠い時は?」
人間の意志力なんて、豆腐のように脆いものです。
そこでAIが授けてくれたのが、行動経済学に基づく「If-Thenプランニング」という技術でした。
脳に「やる気」を出させるのではなく、ロボットのように「条件反射」を埋め込むのです。
If(もし): 加圧ベルトを外したら
Then(その時): 何も考えずに玄関を出る
If(もし): 疲れて帰宅したら
Then(その時): シャワーを浴びる前に、ウェアに着替える
「意志を使わないでください。トリガーを引くだけです」
AIのアドバイス通り、私は「加圧が終わった瞬間」をトリガーに設定しました。
「疲れたな」と考える隙を与えず、ただ機械的に靴を履く。
一度外に出てしまえば、不思議なことに体は勝手に動き出し、「せっかくだからもう少し歩くか」という気分になるものです。
(これを物理学では「慣性の法則」と言うそうです。人間も物体なんですね)
結び:スニーカーは「脳の修理道具」である

こうして、私の2026年は「歩く」ことから始まりました。
月・火・水。
週に3回、これまで空白だった時間に「ウォーキング」というピースが埋まりました。
歩きながら、私は自分の脳の中を想像します。
一歩踏み出すたびに、血流が海馬に押し寄せ、新しい神経細胞が生まれている。
萎縮していくはずの脳が、逆に膨らんでいく。
そう考えると、ただの近所の景色が、まるで最新鋭のトレーニングジムのように見えてきます。
60代。 肉体的なピークは過ぎたかもしれません。
しかし、脳はまだ成長できる。
科学がそう証明してくれています。
あなたがもし、玄関に眠っているスニーカーを持っているなら、それはただの靴ではありません。
それは、あなたの脳を物理的に修理し、アップグレードするための「医療器具」なのです。
さあ、紐を結びましょう。
脳が若返る音が、足音と共に聞こえてくるはずです。







