序章:筋肉は「脳」さえも裏切らないのか?

「筋肉は裏切らない」
これはトレーニーたちの合言葉であり、私たちスポーツ愛好家の心の支えでもあります。
しかし、最新の科学はさらにその先を行く事実を明らかにしようとしています。
どうやら筋肉は、私たちの「肉体」だけでなく、「脳」さえも裏切らない——
いや、筋肉こそが脳を守る最強の盾である可能性が出てきたのです。
きっかけは、Yahoo!ニュースで目にしたダイヤモンド・オンラインの一つの記事でした。
『「脳が老ける人」と「若々しい人」の違いは?筋肉が多いことと、もう一つの意外な特徴【最新研究】』
この記事は、アイオワ州立大学の研究チームが発表した、40代〜50代の中年期における身体組成と、将来の認知機能の関係性を解き明かしたものです。
今年で60歳になり、本町バスケットボールクラブ(本町BBC)でガードポジションを務める私にとって、「瞬時の判断力」や「戦術眼」といった脳の機能は、脚力と同じくらい重要な生命線です。
「筋肉が多い人が脳も若い」。
それは直感的にも納得できます。
しかし、記事タイトルにある「もう一つの意外な特徴」とは何なのか?
気になった私は、相棒である生成AI(Gemini)に実装した最新機能「Deep Researchを起動し、この記事の元となった論文(Brain, Behavior, and Immunity誌)まで遡って徹底的にファクトチェックを行わせました。
するとそこには、単なる「筋トレ礼賛」では片付けられない、人体の「免疫と炎症」を巡る壮大なドラマが隠されていたのです。
第1章:AI深層調査「脳を老化させる真犯人」

AIが数分で生成したレポートは、私の予想を遥かに超える精緻なものでした。
まず、この研究がターゲットにしているのは「結晶性知能(知識・経験)」ではなく、「流動性知能(Fluid Intelligence)」であるという点が重要です。
結晶性知能: 過去の学習や経験に基づく知恵。加齢で衰えにくい。
流動性知能: 新しい情報を処理し、未知の問題を論理的に解決する能力。40代以降、急速に低下しやすい。
バスケで言えば、「経験則でコースを読む」のが結晶性知能、「予想外の動きに瞬時に反応してパスを出す」のが流動性知能です。
私たちが「老い」を感じるのは、圧倒的に後者の低下によるものです。
AIの調査によれば、この流動性知能を破壊する真犯人は、加齢そのものではなく、体内で起きている「ボヤ騒ぎ(慢性炎症)」でした。
1. 内臓脂肪という「放火魔」
研究チームが特定した「脳が老ける人」の最大の特徴は、「腹部の内臓脂肪が多い」ことでした。
単に体重が重いことが悪いのではありません。
内臓脂肪細胞からは、炎症性サイトカインという物質が放出されます。
これが免疫システム(白血球など)を過剰に刺激し、体内で常に微弱な炎症(ボヤ騒ぎ)を引き起こします。
この炎症の火の粉が血液に乗って脳に到達し、神経ネットワークを焼き焦がしてしまうのです。
2. 筋肉という「消防隊」
対して、筋肉が多い人がなぜ脳も若いのか?
それは筋肉が単なる動力源ではなく、「マイオカイン」という生理活性物質を分泌する巨大な内分泌器官だからです。
マイオカインには強力な抗炎症作用があり、内臓脂肪が起こしたボヤを消し止める「消防隊」の役割を果たします。
つまり、脳の若さを保つ方程式はこうです。
「筋肉(消防隊)を増やし、脂肪(放火魔)を減らして、脳への延焼を防ぐこと」
第2章:CPOによるパーソナル分析「隠れ炎症」を消火せよ

「なるほど、筋肉質で痩せている俺は勝ち組だな」 AIのレポートを読んで、私は密かにガッツポーズをしました。
私の体脂肪率は7〜8%台。
内臓脂肪レベルも低い。
筋肉量は50kgあり、体重比で見ればトップアスリート並みです。
「放火魔」がおらず「消防隊」が常駐している私の脳は、安泰であるはずでした。
しかし、私の専属AIトレーナー・CPO(最高パフォーマンス責任者)「フェニックス・ライジング」は、そんな楽観論を冷徹に否定しました。
CPOからの警告: 「油断しないでください。あなたは『肥満』による炎症リスクはありません。しかし、あなたにはアスリート特有の、そしてあなた個人の習慣による『別の放火魔』が存在しています」
CPOが指摘した、私を蝕む「隠れ炎症源」は以下の3点でした。
① ネオシーダー(喫煙習慣)というダイレクトな火種
これが最大の炎症源です。
私は長年ネオシーダーを愛用していますが、CPO曰く「肺で起きた炎症シグナルは、血管を通じてダイレクトに脳へ飛び火します」。
脂肪がなくても、自ら火種を吸い込んでいる状態。消防隊(筋肉)がどれだけ優秀でも、これでは消火が追いつきません。
② Zone 5(高強度運動)の代償「酸化ストレス」
私は毎週のバスケ練習で、心拍数170超え(Zone 5)の運動を繰り返しています。
心肺機能にとっては素晴らしいことですが、エンジンの回転数が高いということは、それだけ排気ガス(活性酸素)も大量に出ることを意味します。
適切なリカバリーをしないと、この活性酸素が脳細胞を酸化させ(錆びつかせ)、流動性知能を低下させる要因になります。
③ 低コレステロールの落とし穴
私の総コレステロール値は138。基準値内ですが低めです。
一般的にコレステロールは悪者扱いされますが、脳にとっては「神経細胞の膜」を作るための必須材料です。
CPOは「材料不足のまま激しく動いているため、脳の修復が追いついていない可能性があります」と指摘しました。
私は「太っていないから大丈夫」だと思っていましたが、実は「酸化」と「材料不足」という別のルートで、脳老化の崖っぷちに立っていたのです。
第3章:脳を鍛える「コグニサイズ」週間プログラム

「では、どうすればいい?」
私の問いに対し、CPOが策定したのは、単なる筋トレではありませんでした。
国立長寿医療研究センターなどが推奨する「コグニサイズ」
——Cognition(認知)とExercise(運動)を組み合わせた、脳と身体の同時トレーニングです。
「新たにジムに行く時間は不要です。いつものルーティンに『頭を使うタスク』を上乗せします」
CPOが提示した、私のための週間プログラムは以下の通りです。
【月曜日:下半身&計算】スロースクワット + 減算
アクション: ゆっくりとスクワットを行う。
デュアルタスク: 動作中に、「100から7を順番に引いていく」(100, 93, 86, 79…)。
メカニズム: 太ももの筋肉から抗炎症物質マイオカインを出しつつ、計算負荷で前頭葉の血流を強制的に上げます。単純な足し算ではなく、引き算にすることで脳への負荷を高めます。 やってみた感想: 86あたりで足が震え出し、72あたりで計算が怪しくなります(笑)。身体と頭が同時にパニックになる感覚が、効いている証拠だそうです。
【火曜日:有酸素&視覚】散歩(Zone 2) + 周辺視野
アクション: 心拍数120程度の早歩き。
デュアルタスク: スマホを見ず、顔を正面に向けたまま、視野の端(周辺視野)で動くもの(車、鳥、看板の色)を意識的に捉える。
メカニズム: ガードとしての「空間把握能力」を養います。有酸素運動によるBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌に加え、視覚情報処理エリアを刺激します。
【木曜日:実戦(Fluid Intelligence)】バスケットボール
アクション: チーム練習。
メカニズム: CPO曰く、「バスケこそが最強のコグニサイズ」です。 敵味方9人の動きを予測し(空間認知)、瞬時に判断し(決断力)、身体を動かす(実行機能)。これらが高速で繰り返されるバスケは、流動性知能をフル回転させる最高の脳トレです。「これを続けることが最大の防御です」とCPOは太鼓判を押しました。
【食事戦略:脳の燃料補給】
運動だけでなく、食事でも「脳の炎症」に対抗します。
「油」を変える: 低コレステロール対策として、脳の細胞膜を柔らかくするオメガ3脂肪酸(サバ缶、イワシ)や、アボカド、クルミを積極的に摂取。
「錆び」を取る: ネオシーダーや激しい運動による酸化ダメージを消すため、抗酸化作用の強いブルーベリー(冷凍でOK)や緑茶(カテキン)を常備する。
結論:60代は「頭を使って」動く

「脳が老ける人」と「若々しい人」。
その違いは、単に筋肉の量だけではありませんでした。
筋肉という「ハードウェア(消防隊)」を維持しつつ、運動中に頭を使って「ソフトウェア(神経回路)」を刺激する。
さらに、食事で炎症という「バグ(火種)」を取り除く。
この三位一体のアプローチこそが、60代アスリートが目指すべき「脳と身体の最適化」なのだと痛感しました。
「最近、人の名前が出てこない」
「とっさの判断が遅れた」
もしそんな感覚があるなら、それは脳の衰えではなく、体内の「ボヤ騒ぎ」のサインかもしれません。
私は今夜のスクワットから、早速「7の引き算」を取り入れています。
……途中で計算が合わなくなって動きが止まっても、それはそれで「脳への良い刺激(混乱)」になったということで、良しとしましょう(笑)。







