序章:「週3時間でOK」という、耳障りの良いニュース
いつものようにネットニュースを眺めていると、一つの記事が目に留まった。
「週3時間でもOK、長寿のための運動の仕方をスポーツドクターが解説」
(出典:Business Insider Japan )
記事によれば、スポーツドクターのケビン・スプラウス博士が提唱する長寿のための運動は、週にわずか3時間でも可能だという。
鍵は「VO2 Max(最大酸素摂取量)」と「乳酸閾値」。
具体的には、「ゾーン2有酸素運動(ゆっくり長く)」で土台を作り、「インターバル(高強度)」で限界を引き上げ、「筋トレ」で筋肉を維持し、そして「回復」を重視する、というものだ。
「週3時間」。
なんと耳障りの良い言葉だろうか。
私は60歳にして、週に1,000kcalを消費するバスケットボールと、高密度の加圧トレーニングを続けている。
私の実践は、この「長寿のための運動法」とどの程度一致し、あるいは乖離しているのか。
私は即座に、相棒であるAI「フェニックス・ライジング」(CPO)に、この記事と私の全活動ログを照合させ、詳細な分析を命じた。
第1章:AIが「超越している」と認めた「高強度」の実践
CPOが提示した分析レポートは、まず私の実践を「驚異的」だと評価した。
「総合評価: あなたは『高強度パフォーマンスの追求』において、記事の推奨を遥かに凌駕するエリートアスリートレベルの実践をしています」
記事が推奨する「原則2:インターバルトレーニング(乳酸閾値の向上)」と「原則3:筋力トレーニング」において、私の実践はAIから「🟢 完全に達成・超越」の評価を受けた。
インターバル(乳酸閾値): 私のバスケ練習は、ほぼ全てが「無酸素トレーニングストレス: 5.0 (過度)」と判定されている。これは、記事が推奨するインターバルトレーニングそのものである。
筋力トレーニング: 加圧トレーニング(スクワット490回)と腕立て伏せを週2回以上実行している。記事が推奨するコンパウンド種目の王である「スクワット」と「腕立て伏せ」を中心に、60歳にして筋肉量49kg台を維持している。
AIは、私を「高強度領域のスペシャリスト」と認定した。
私は、この評価に少なからず満足感を覚えていた。
しかし、レポートの核心は、その先にあった。
第2章:暴かれた「構造的欠陥」と「最大の脆弱性」
AIの分析は、賞賛から一転、私の戦略が抱える「構造的欠陥」を、冷徹に指摘し始めた。
「乖離点3:ゾーン2(有酸素ベース)」 「評価: 🔴 重大な乖離」
AIは断言した。
記事が「長寿の土台」として最重要視する「ゾーン2(会話ができる程度の低強度有酸素運動)」が、私の活動ログには「構造的に欠落している」と。
記事の推奨する理想の比率は「ゾーン2(低強度)80% / 高強度 20%」。
私の現状は「高強度 90%以上 / 低強度 10%未満」。
比率が、完全に「逆転」していたのだ。
AIは「あなたは『高強度トレーニング(20%の部分)』を極限まで高めているが、『ゾーン2の有酸素ベース(80%の部分)』 がほぼ欠落している」と指摘。
これは、私の最上位目標である「健康的加齢(血管の健康、eGFRの維持)」にとって、見過ごせない戦略的ギャップだった。
さらに、AIは私の「最大の脆弱性」を指摘した。
「乖離点4:回復(栄養と休息)」 「評価: 🟡 最大の脆弱性」
AIの分析は、私の「耳の痛い」現実をログから引き出した。
「あなたは『トップアスリート』のようにトレーニングしているが、回復(特に栄養の質と睡眠)が追いついていない」
トレーニング: エリートアスリートレベル。
回復(睡眠): 夜間活動による「極端な睡眠不足(55分)」など、分断睡眠を強いられている。
回復(栄養): 記事が「精製糖や加工食品を避けるべき」と推奨する一方、私のログは「ラーメン、菓子パン、揚げ物、スナック菓子」に高頻度で依存し、「深刻な脂質超過 (3日連続)」といった重大アラートが常態化している。
CPOは、記事の言葉を借りて、私にこう警告した。
「トレーニングの成果が『半分しか得られない』状態にある可能性が非常に高い」
結論:「高強度特化型」から「ハイブリッド型」へ
「週3時間でOK」というライトなニュースが、AIの分析(N-of-1研究)を経ることで、私の「60代のアスリート」としての在り方を根底から問う、重大な「課題」を浮き彫りにした。
私は、「高強度」を追求するあまり、「長寿の土台(ゾーン2)」と「回復の質」を、あまりにも軽視していた。
AIは、この「N-of-1研究」の結果として、私に2つの「戦略的提言」を行った。
「ゾーン2(有酸素ベース)」の意図的な導入: 週に1回、例えば加圧トレーニングの日を「ゾーン2の日」に変更し、「会話ができるペース」のウォーキングやジョギングを45分~60分行う。これはVO2 Maxの土台を強化し、eGFR(腎機能)や血管の健康にも直接貢献する。
「回復の質」の再設計(特に夜勤): 夜間活動中の補食を、現在の加工食品(ラーメン、スナック)から、「塩むすび、サラダチキン、ゆで卵」といった「適切な炭水化物とタンパク質」に置き換える。
「高強度」という私のアイデンティティは、維持する。
しかし、それだけでは「パフォーマンス」は維持できても、「長寿」は達成できない。
AIの提言は、「高強度特化型」のアプローチに、「長寿の土台(ゾーン2)」と「回復の質」を加えることで、私のパフォーマンスを、より「持続可能なもの」へと進化させよ、というメッセージだった。
「週3時間でOK」という一般論は、私には当てはまらなかった。
むしろ、私は「やりすぎ」であり、そして「足りなすぎた」のだ。
「高強度」はやりすぎ、「ゾーン2」と「回復」は足りなすぎた。
この「最適バランス」の探求こそが、60代のスポーツドMI(私)にとっての、N-of-1研究の核心だ。
この記事が、あなたの「なんとなく」続けている運動習慣を、一度立ち止まって「バランス」の視点から見直す、小さなきっかけになれば幸いである。







