序章:「ケトン体」という、引っかかり

探求のきっかけは、ほんの些細な「引っかかり」だった。
以前、SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)の「老化細胞除去」に関するニュース(テレ朝news )をAIに分析させた際、AI(フェニックス・ライジング、以下CPO)は、私にその薬を適用するリスクとして「ケトアシドーシス」を挙げた。
CPOの解説は、「あなたは日常的に糖質が不足しがち(ファスティング、運動)なため、この薬でさらに糖を排出すると、ケトン体が増えすぎ、血液が酸性になるリスクがある」というものだった。
その時、私の頭に引っかかったのは、リスクではなく「ケトン体」という言葉そのものだった。
ケトン体。
それは、体がエネルギー源として糖質を使えない時に、「脂肪」を分解して作られる物質。
ならば、ケトン体が出ている方が、体脂肪も付かずに良いのではないか?
そして、私には密かな「仮説」があった。
「もしかして、私もケトン体をエネルギーとして使っているのではないか?」と。
第1章:AIが解き明かす「私の身体」
私は、自らの仮説を検証すべく、CPOにストレートに尋ねた。
「私の全データを調べて、私はケトン体をエネルギーにしていると思いますか?」
CPOの回答は、私の予想を超える「確信」に満ちたものだった。
「はい、CPOとしてあなたの全活動ログとライフスタイルを分析した結果、
あなたは日常的にケトン体をエネルギー源として利用している可能性が非常に高いと判断します」
CPOが挙げた根拠は、私の生活習慣そのものだった。
16-18時間の日常的なファスティング: 肝臓のグリコーゲン(糖)が枯渇し、体はエネルギーを脂肪(ケトン体)に頼らざるを得なくなる。
慢性的な炭水化物(C)の不足: 運動がない日の炭水化物摂取量は、目標350gに対し、160g前後(46%)と、目標を大幅に下回る日が散見される。食事から入る糖が少ないため、体はケトン体を生成している。
グリコーゲンを使い切る高強度運動: バスケットボール(1,000kcal超)や加圧トレーニングは、体内のグリコーゲンを空にし、身体を「ケトン体を使わざるを得ない状態」へ強制的に移行させる。
CPOは、「あなたの身体は、ファスティング中、運動中、そして炭水化物が少なかった日の夜間において、積極的に脂肪を分解し、ケトン体を活用している」と結論付けた。
第2章:「ケト体質」の否定と、「ハイブリッド」という真実
私の仮説は、裏付けられた。
「やはり、私はケトン体質だったのだ」
そう確信した私は、CPOに最後の確認をした。
「では、私は『ケトン体体質(ケトアダプテーション状態)』になっている、ということですか?」
CPOの答えは、私の「確信」を、鮮やかに覆すものだった。
「いいえ。
あなたは厳密な定義での『ケトン体体質(ケトアダプテーション状態)』ではありません」
私は、一瞬、混乱した。
ケトン体を使っているのに、「ケトン体体質」ではないとは、どういうことか。
AIの論理は明快だった。
「ケトン体体質」とは、1日の糖質量を50g以下などに「厳格に制限」し続けることで達成される状態を指す。
しかし、AIは私の食事ログを提示する。
ご飯: 1食で炭水化物(C) 160.2g
パスタ(乾麺)150g: 1食で炭水化物(C) 約111g
草大福: 1個で炭水化物(C) 53.7g
「あなたは『糖質を制限』しているのではなく、
『高糖質な食事の回数を1日2回に凝縮』しています」
「これらの食事を摂取した直後、体はケトン体の生成を即座に停止し、『糖質燃焼モード』に切り替わります」
そして、AIは、私の身体の「真の姿」を定義した。
「あなたの本当の状態:『代謝的柔軟性(Metabolic Flexibility)が極めて高い状態』」
それは、エネルギー源を「脂質(ケトン体)」と「糖質(グルコース)」の間で、必要に応じて自在に行き来(スイッチング)できる能力。
「ケトン体だけに頼る体質」ではなく、「糖も脂質(ケトン体)も両方使える、ハイブリッドな代謝体質」である、と。
結論:体重±1kgの謎を解く「ハイブリッド代謝」
「ハイブリッド」
その言葉は、私の長年の「謎」の、最後のピースを埋めるものだった。
私の長年の謎。
それは、高脂質な食事(リセットデイには脂質200%超)をしようが、低炭水化物(摂取量46%)で過ごそうが、私の体重と体脂肪は、常に「±1kg・±2%」の範囲で、驚くほど安定していることだった。
私は、この「謎」をAIにぶつけた。
「この安定は、ハイブリッド代謝のおかげだと分析しますか?」と。
「はい、その通りです。
あなたのその仮説は完全に正しいと結論付けます」
AIは、私の「仮説」を「事実」として認定した。
代謝が「低い」人なら、高脂質な日は「脂肪蓄積」に走り、低糖質な日は「エネルギー枯渇(カタボリック)」に陥る。
しかし、私の「ハイブリッド代謝」は、
低糖質な日は、ファスティングで鍛えた「脂質燃焼モード」で乗り切り、
高糖質な日は、高強度運動で「空になった」筋肉が、そのエネルギーを「待望の燃料」として喜んで吸収する。
ファスティング(脂質モード)と高強度運動(糖質モード)。
この両極端な「訓練」によって、私の60歳の身体は、知らず知らずのうちに、エネルギーを自在に切り替える「ハイブリッド・エンジン」を搭載していたのだ。
私は、この探求の結論に、深く満足した。
このまま変わらない食事と運動を続け、この「ハイブリッド代謝」という名の「N-of-1研究」を、AIと共に続けていこうと思う。
60歳を過ぎて、いつまでこの状態が続くかは解らないが、その変化(プロセス)さえも、私にとっては探求の対象でしかないのだから。
「糖質は悪か、脂質は善か」
そんな二元論は、私の身体には当てはまらなかった。
私の身体が選択したのは、「両方」を効率的に使いこなす「ハイブリッド」という道だった。
この記事が、あなたの「常識」を疑い、あなた自身の「身体の真実」に耳を傾ける、







