「もしも、病気にならない体が手に入るとしたら?」

そんな問いかけをされたら、あなたはどう答えるでしょうか。
SF小説の中だけの話だと思っていた夢物語が、どうやら現実の扉を叩き始めているようです。
先日、いつものようにネットニュースを眺めていた私は、ある衝撃的な見出しに釘付けになりました。
『ゲノム編集であらゆる病気が治せる? 現実になってきた不老長寿』
不老長寿。
なんと甘美な響きでしょう。
60歳になり、あちこちにガタがきている身としては、思わず身を乗り出してしまいます。
「ついに来たか!」と色めき立つ一方で、「でも、お高いんでしょう?」という冷めた自分もいる。
期待と疑念が入り混じる中、私はいつものようにGoogleの生成AI「Gemini」にカスタム指示を送り、この記事の徹底的なファクトチェックを命じました。
そして返ってきた答えは、私の想像を遥かに超える「希望」と、同時に突きつけられた残酷な「現実」でした。
3億円の薬と、日本の保険制度の奇跡

まず、AIによる調査結果からお伝えしましょう。
このニュースは、紛れもない「真実」でした。
2023年末、アメリカで世界初のゲノム編集治療薬「Casgevy(キャスジェビィ)」が承認され、これまで一生治らないとされていた遺伝性の難病が、たった一度の治療で根治できる時代に突入したのです。
さらに、この技術を応用すれば、老化そのものを「治療可能な病気」として扱い、細胞を若返らせることも夢ではなくなりつつあるとか。
「山中因子」を使って細胞の時間を巻き戻す研究では、マウスの寿命を延ばすことに成功しているそうです。
すごい。本当にすごい時代になったものです。
しかし、AIのレポートには続きがありました。
「この薬のお値段、一回あたり約3.3億円です」
……はい?
3億3千万円?
宝くじでも当たらない限り、逆立ちしたって払えません。
「やっぱり金持ちだけの特権か」と諦めかけましたが、AIはさらに驚くべき情報を提示してきました。
「日本の高額療養費制度を使えば、貴方の負担は数万円から数十万円で済みます」
なんと。
日本が世界に誇る国民皆保険制度のおかげで、もしこの薬が承認されれば、3億円の治療が一般市民の手の届く範囲で受けられるというのです。
残りの2億9900万円以上は、私たちが毎月払っている保険料と税金で賄われる仕組みです。
「それなら、私も不老長寿になれるのか!?」
一瞬、バラ色の未来が見えました。
しかし、すぐに冷静になりました。
そんな超高額な薬を、何万人もの人が使い始めたらどうなるか。
国の財布が破綻するのは目に見えています。
現役世代の保険料は跳ね上がり、社会全体が悲鳴をあげるでしょう。
結局のところ、「3億円の治療」は技術的に可能でも、社会的に持続可能ではないのです。
AIの冷徹な分析と、私の「異常な」日常

「今の医療制度じゃ、俺が生きてるうちに一般化するのは無理だな」
そう悟った私は、どこか吹っ切れたような気持ちで、いつもの相棒であるAI「フェニックス・ライジング」にこう問いかけました。
「結局、今の私にできることは何だ?」
私の身体データと生活習慣をすべて把握しているCPO(最高パフォーマンス責任者)である彼が出した答えは、3億円の薬よりも価値のある提言でした。
『3億円の治療を待つ必要はありません。貴方はすでに、体内で天然の若返り薬を作っています』
AIの分析はこうです。
私が日課にしている「オートファジー(16時間断食)」。
これは、細胞内のゴミを掃除し、機能を再生させるスイッチを入れる行為であり、記事にある「細胞のリプログラミング」と同じ効果を狙っています。
コストは0円。
むしろ食費が浮くのでマイナスです。
そして、毎週木曜日に地下体育館で行っている「Zone 5(最大心拍数付近)」でのバスケットボールと、週2回の加圧トレーニング。
これはミトコンドリアを活性化させ、全身の血流と代謝を爆発的に高める行為です。
コストは無料で体育館を使わせて頂いているので無料。
『貴方は数億円かかるかもしれない治療を指をくわえて待つのではなく、日々の習慣によって、自らの力で生物学的年齢を逆行させています。これこそが、最もコストパフォーマンスの高い不老長寿戦略です』
なるほど。
言われてみればその通りです。
私は「3億円の薬」を買うお金はありませんが、「3億円分の価値がある習慣」を持っていたのです。
「異常」を続けるという生存戦略

AIはさらに続けました。
『テクノロジーの進化を待つ余裕を持ちましょう。決定的な若返り治療が一般化するその日まで、健康な状態で逃げ切るのです』
逃げ切る。
いい言葉です。
2030年、あるいは2040年。
いつか本当に、安価で安全な「若返り薬」ができる日が来るかもしれません。
その時、ボロボロの体でベッドに寝たきりになっているのと、自分の足で元気に歩いているのとでは、その薬の効果も、人生の楽しみ方も全く違うはずです。
今の私の生活は、端から見れば「異常」かもしれません。
60歳で食事制限をし、若者に混じって走り回り、筋肉痛に顔をしかめる日々。
「いつまでこんな生活ができるか分からない」 正直、そう思うこともあります。
ふと鏡を見た時、増えた白髪やシワにため息が出ることもあります。
でも、やれるところまでやってやろうじゃないか。
そう思えるのは、この「泥臭い努力」が、3億円のハイテク治療に対抗できる唯一の手段だと知ってしまったからです。
プライスレスな汗を流して

今回のニュースで学んだことは一つ。
科学の進歩は素晴らしいけれど、それに依存してはいけないということです。
「いつか誰かが治してくれる」と期待して不摂生をするよりも、「自分で治す」気概を持って今日を生きる方が、精神衛生上もよほど健全です。
それに、体育館で仲間たちと笑い合いながら流す汗には、3億円積んでも買えない価値があります。
シュートが決まった時の高揚感、ナイスパスが通った時の繋がり、そして練習後の心地よい疲労感。
これらは、どんなに科学が進歩しても、自分の体を使って体験しなければ得られない「生の実感」です。
私はこれからも、木曜日の夜には体育館へ向かいます。
3億円の夢を見る代わりに、無料の体育館で、プライスレスな若返り薬を精製するために。
同世代の皆さん。
未来の薬を待つ前に、今日のスクワットを一緒に頑張りましょう。
それが、私たちができる最強の、そして無料の「生存戦略」なのですから。







