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序章:練習後の「ボケ」が招いた、まさかの展開

先日のバスケ練習後、クタクタに疲れて帰宅した私は、いつものルーティンとしてスマートウォッチで計測した練習データをAIにアップロードした。

いつものように、「今日の練習強度は…」という分析が返ってくるはずだった。

しかし、画面に表示されていたのは、予想もしない長文のメッセージだった。

「ご提示いただいた情報は…(中略)…肝心の『修正対象となるカスタム指示』が含まれておりませんでした」 「しかし、『カスタム指示設計の第一人者』としての私の役割は…」

……ん?

「カスタム指示設計の第一人者」?

いつもの相棒AI「フェニックス・ライジング」なら、そんな自己紹介はしないはずだ。

私はハッとして、スマホの画面をよく確認した。

……やっちゃった。

練習後の疲れか、あるいは歳のせいか(笑)。

私は、いつもの相棒ではなく、「カスタム指示の作成や修正」をするために作っておいた、別のAIチャットにデータを誤送信してしまっていたのだ。

「あ〜あ、ボケちゃったな」 苦笑いしながら正しいチャットにデータを送り直し、一件落着。

……のはずだった。

しかし、気になって「間違ったチャット」の方を読み返してみると、そこには驚愕の提案が記されていた。

第1章:頼んでもいないのに「NBA級コーチ」が誕生

その「カスタム指示専門AI」は、私が間違って送ったトレーニング画像(無酸素ストレス5.0という激しい数値)を見て、勝手にこう解釈していた。

「状況から察するに、あなたは『プロのスポーツトレーナー並みの高度なフィードバックが返ってくるカスタム指示』を求めていると考えられます」

そして、頼んでもいないのに、新しいカスタム指示のコードを書き上げていたのだ。

その名も、

「NBAやBリーグの選手をサポートする『トップレベルのバスケットボール・パフォーマンス・コーチ』」

……

いやいや、しがない60歳のバスケプレーヤーには大げさでしょう(笑)。

そう思いながらも中身を見てみると、これが凄い。

  • 役割: 運動生理学、スポーツ栄養学に精通したトップコーチ。

  • 分析: バスケ特有の「着地衝撃」や「ストップ動作」による膝・腰への負荷を分析。

  • 警告: 「無酸素ストレス」が過剰な場合は、オーバートレーニングを警告。

「これは……結構いいんじゃないか?」

私の心は、少しずつ動き始めていた。

第2章:一言で「ガード特化版」へ進化

AIの提案の最後に、こんな一文があった。

「普段のポジション(ガード、センターなど)を教えていただければ、さらに指示を微調整して『ポジション特有の疲労』まで分析できるようにすることも可能です」

私は思わず、「ガードです」と入力してしまった。

するとAIは、水を得た魚のように饒舌になった。

「ありがとうございます。『ガード(PG/SG)』という情報は、分析の精度を上げるための非常に重要な鍵です」

AIは、ガードというポジションを「コート上で最も走行距離が長く、常に動き続ける司令塔」と定義。

そして、瞬く間に「究極のカスタム指示(バスケットボール・ガード特化版)」を作成してしまった。

  • 焦点: 「90分間走りきれるスタミナ」と「一瞬の爆発力(アジリティ)」の両立。

  • ケア: ディフェンスのスライド動作による「股関節・内転筋」の疲労と、切り返しによる「足首」のストレスに特化。

  • 警告: 疲労による「判断力の低下(ターンオーバーの元)」まで指摘。

ただの「バスケコーチ」から、「ガード専門コーチ」へ。 AIの進化は止まらない。

第3章:そして「60歳の鉄人」を守るメディカルコーチへ

さらにAIは畳み掛ける。

「特定の怪我の経験(捻挫癖、腰痛など)があれば、それを考慮に入れますか?」

ここまできたら、とことん付き合ってやろう。

私は、自分の年齢(60歳)、体組成データ、そして既往歴(右脚脱臼、両足首捻挫、ぎっくり腰2回)を正直に入力した。

すると、AIのトーンが変わった。

「60歳にして無酸素TE 5.0を記録し、『今のところ問題ない』というのは、まさに『鉄人』です。

しかし、だからこそ『最大級の警戒』が必要です」

AIが提示した3つ目のカスタム指示。

その名は、「熟練のメディカル・コンディショニングコーチ」

  • 役割: クライアント(60歳)が「一生コートに立ち続ける」ための安全管理。

  • リスク管理: 「無酸素5.0」は、古傷(右脚脱臼、捻挫)の「時限爆弾」のスイッチを押しかねない危険領域と認定。

  • 腰痛対策: 疲労でハムストリングが固まると「ぎっくり腰」が再発するため、股関節の柔軟性を最優先でケア指示。

  • 水分管理: 60代は喉の渇きを感じにくいため、脱水(ドロドロ血液)リスクを若者以上に厳しく警告。

パフォーマンス向上」だけでなく、「マスターズアスリートとしての持続可能性」を最優先にした、私だけの完全オーダーメイド指示。

まさに、私が求めていたのはこれだったのかもしれない。

結論:怪我の功名、あるいはAIとのセレンディピティ

単なる送信ミスから始まった、AIとの対話。

しかし結果として、私は以下の3つの強力な「カスタム指示(Gem)」を手に入れることになった。

  1. トップレベルのバスケットボール・パフォーマンス・コーチ(基本形)

  2. 究極のカスタム指示(バスケットボール・ガード特化版)(ポジション特化)

  3. 究極のカスタム指示(60歳マスターズ・ガード特化版)(メディカル特化)

どれも甲乙つけがたい完成度だ。

せっかくなので、「ガード特化版」と「60歳マスターズ版」の2つをGem(カスタムAI)として実装し、これから色々と実験してみることにした。

AIは、こちらの入力(プロンプト)次第で、無限の可能性を見せてくれる。

時には、今回のように「間違った入力」さえも、新しい発見の種にしてしまうほどに。

この新しいコーチたちが、私のバスケ人生をどう変えてくれるのか。

実験の結果は、また次回の記事で(その2へ続く)。

AIは「怖い」「難しい」と思っている方も多いかもしれない。

だが、こうしてドジを踏んでも、それを笑って(?)フォローし、

さらに凄い提案を返してくれるのが、最新のAIの面白いところだ。