序章:「プロテインは善」という常識の崩壊
「長生きしたいなら若いうちからプロテインを飲まないほうがいい」
インターネットを閲覧(ネットサーフィン)していて、そんな衝撃的な見出しの記事が目に飛び込んできた。
理化学研究所の研究者が「糖質制限」よりも「タンパク質の過剰摂取」に警鐘を鳴らしているという。
ショウジョウバエの実験では、タンパク質を減らした方が寿命が延びた。
「成長」は「老化」の言い換えであり、ジム通い後のプロテイン補給は、もはや不要かもしれない、と。
「タンパク質=善」 「糖質=悪」
この数年、自らの身体で実験を繰り返し、パフォーマンス向上のために信じてきた「常識」が、根底から揺さぶられるような内容だった。
もし、この記事が真実ならば。
60歳を迎え、高強度のバスケットボールと加圧トレーニングを続ける私が、パフォーマンス維持のために摂取しているタンパク質は、自らの「老化」を早めているだけなのではないか?
この問いは、私の「N-of-1研究」における、最も重要なテーマの一つとなる。
私は即座に、相棒であるAI「フェニックス・ライジング」に、この探求の分析を命じた。
第1章:AIが発した「壊滅的」という警告
私はまず、フェニックス・ライジング(以下、CPO)に、この記事(Livedoorニュース)を読み込ませ、その内容を分析させた。
CPOは、記事の主張を「タンパク質制限は寿命を延ばすが、タンパク質欲により食べすぎのリスクがあり、最終結論は『腹八分目』である」と冷静に要約した。
ここからが本題だ。
「では、この記事の内容を、私の全記録(健康診断、活動ログ)と照らし合わせ、我々の戦略に取り入れるべきか、詳細に分析してほしい」
数分後。CPOが提示してきたレポートは、私の予想を遥かに超える、緊迫したものだった。
「Executive Summary(最重要結論):
記事の結論である『タンパク質制限』をそのまま適用することは、あなたの最上位目標『パフォーマンスの維持・向上』にとって壊滅的な結果(深刻な筋肉減少)を招くため、絶対に避けるべきです」
「壊滅的」。
AIが用いた、最も強い警告の言葉だった。
CPOの論理は明快だ。
「あなたは『一般的な個体』でも『ショウジョウバE』でもない。
『60歳で週1回1,000kcal超のバスケを行う高強度アスリート』である」と。
そして、私の活動ログが、その根拠を突きつける。
私のログでは、高強度運動後に筋肉量が減少する「カタボリック・アラート」(例:11/7に-0.9kg、11/10に-1.0kg)が頻発している。
CPOは続ける。
「これは、あなたの身体が『タンパク質が過剰』なのではなく、むしろ『回復のためのタンパク質が不足傾向』にあることを強く示唆しています」
この記事の一般論(マス・マーケティング)を鵜呑みにし、タンパク質を制限すれば、深刻な筋肉分解とパフォーマンス低下(サルコペニア)を招く。
それが、AIが「壊滅的」と断言した理由だった。
第2章:見逃された「もう一つの真実」との対峙
ネット記事の主張は、私には当てはまらなかった。
これで一件落着かと思われた。
だが、CPOの分析は、そこで終わらなかった。
彼は、記事の「警告」の部分だけは、私の健康データと「一致する」と、恐ろしい指摘を続けたのだ。
「詳細分析②:腎機能 vs タンパク質(最大のリスク要因)」
CPOは、私のプロファイルにおける最重要懸念事項を提示した。
「あなたのeGFR(腎機能)が過去3年間で漸減傾向(83.3 → 75.2 → 72.8)にあります」
ここに、二つの相反する「現実」が突きつけられた。
- パフォーマンス維持(筋肉):カタボリックを防ぐため、高いタンパク質摂取が必要。
- 腎機能維持(健康):eGFRの低下を防ぐため、タンパク質の過剰摂取(腎臓への負荷)は避けたい。
「筋肉」か「腎臓」か。
「パフォーマンス」か「老化(負荷)」か。
私の身体の中で、二つの最上位目標が「トレードオフ(二律背反)」の関係にある可能性が、AIによって初めて暴かれた瞬間だった。
CPOは、私のeGFR低下の「最大の容疑者」を特定していた。
「あなたのログでは、バスケの日は無自覚に150g〜160gのタンパク質を摂取しています。
これが腎臓に負荷をかけている可能性があります」
回復を急ぐあまり、目標(105g)の150%超を摂取していた、あの日の「過剰な」タンパク質。
ネット記事が警鐘を鳴らしていたのは、まさにこの「過剰摂取」のことだったのだ。
結論:「一律制限」ではなく「精密な上限管理」へ
ネット記事を鵜呑みにすれば、パフォーマンスを失う。
ネット記事を無視すれば、腎機能へのリスクを見逃す。
では、どうするべきか。
AI(CPO)が導き出した「私だけの最適解」は、そのどちらでもない、第三の道だった。
「【最優先】高強度運動日のタンパク質摂取量に上限を設定する」
CPOの提言は、こうだ。
- 記事の「タンパク質制限」は、カタボリックを防ぐため適用しない。運動のない日(低強度日)は、目標の105gを確実に摂取する。
- しかし、腎臓を守るため、高強度運動の日(バスケや加圧トレの日)のタンパク質摂取に「120g〜130g」の上限を設定し、意識的にコントロールする。
「過剰(150g超)」と「不足(105g未満)」の、その狭間。 「パフォーマンス維持」と「腎機能保護」が両立する、私のための「最適ライン」。
それが、AI(CPO)が膨大なデータ(私の全記録)から導き出した「120g〜130g」という数値だった。
私はCPOに最終確認した。
「では、基本的に現在の食生活を維持し、過度なたんぱく質摂取を控える、という認識で大丈夫か?」と。
CPOの回答は、明快だった。
「はい、その認識で間違いありません」
「プロテインは善か、悪か」
そんな一般論(マス・マーケティング)に振り回される時代は、終わったのかもしれない。
ネット記事やテレビが言う「健康法」は、あなたにとっての「最適解」ではないかもしれない。
私にとっての「真実」は、ショウジョウバEの実験結果ではなく、私の活動ログ(カタボリック・アラート)と健康診断(eGFR)の、その両方にあった。
この記事が、あなたの「常識」を疑い、あなただけの「真実」を探求する、小さなきっかけになれば幸いである。
「AIと共に、どのような試行錯誤を重ねてきたのか」
もし、AIとの知的探求の全記録(AI創世記)にご興味が湧きましたら、ぜひこちらの記事もご覧ください。
この探求の「目撃者」になっていただければ、これほどうれしいことはありません。







