新しい年が来ても、季節が変わっても、決して変わらないものがある。

それは死であり、税金であり、そしてKISSである。

21年プラスαのキャリアを持つこのバンドは最近もう1枚別のスタジオ・アルバムを手掛けたが、これは正式には彼らによるものではなく、彼らのファンで有名なANTHRAX,EXTREME,ガース・ブルックス、そしてレニー・クラヴィツといったメンツによるものだ。

KISSと同じレーベルからリリースされたこのアルバム「KISS MY ASS」は、シンプルにKISSに捧げられたもの(TRIBUTE)であり、すべてこれに参加した個々のグループによってレコーディングされ、プロデュースされている。

それにしても興味深いのは、KISSが今でも完全な形で、かつて彼らを頂点に押し上げたロックというジャンルで、休まず進み続けていることである。

それがこのアルバムが制作された究極の理由だと思うが、その辺りの真相を探るために、今年の後半にリリースされる予定の新作のリハーサルを行っているポール・スタンレーとブルース・キューリックを捕まえ、独占インタビューを行うことになった。

そして彼らはこのトリビュート・アルバムやKISSの息の長い秘訣等、興味深い話をしてくれたのである。

――まず、こういったスタイルのアルバムは誰のアイディアだったのですか?

ポール・スタンレー(以下P):今回のトリビュート・アルバムのことかい?。(笑)

――ええ、まあ・・・あなた達がこれを”トリビュート”と呼ぶのは、あまり好ましく思っていないような印象を受けたもので、もっと良い言葉を捜していたのですが・・・。

P:確かに、そう呼ぶのはあまり気が進まないんだけど、でもこれを説明し、呼ぶにふさわしい言葉がそれならば、そう呼ぶしかない。

ただ俺達がこれをトリビュート・アルバムとよぶことにあまり熱心でないのは、それがとても自賛的なものに聞こえる気がするからさ。

まるでお前はよくやったぞって自分で自分の背中をたたいて褒めてるみたいだからね。で、このアルバムのアイディアはあまりにも沢山のバンドが、インタビュー等でKISSを影響されたバンドの1つとして挙げるという事実から出てきたんだ。

カヴァー曲をやっているバンドもいれば、音楽の中に俺達の影響が現れているバンドもある。

以前にオルタナティヴ系のバンドがやったトリビュート・アルバム「HARDTO BELIEVE」、そういえばNIRVANAもそれに入っているな・・・それを聴いた時に、各人がそれぞれアルバムで自分達の曲を個人的にやる代わりに、もう少し普通じゃないやり方で何かをまとめてみたらどうだろうって思ったのさ。それが俺達から影響を受けてきた人達の範囲の広さを本当に示す良い方法だろうからね。

それから、俺達がやっていることよりもう少し違ったことをやっているバンドやアクトを入れた方がもっと面白いだろうとも思った。

これは本当にそんな感じで始まったんだ。それで誰がこれに参加したいと思ってくれるか確かめるために電話を掛け始めたのさ。基本的には、みんなやりたいと言ってくれたよ。

残念だったのは、本人達は物凄くやりたがっていたのに、レコード会社がやらせてくれなかったケースが幾つかあったことだね。

これはレコード会社が本来はアーティストのために働く義務があることを考えれば興味深いことだ。でも残念なことに、時としてアーティストが逆にレコード会社のために働かされてることがある。

それって本当に不公平だよ。でも、今回はどれもみんな凄くいい仕上がりになっている。

――つまり基本的にはKISS自身があちこち電話をかけたわけなんですね?

P:ああそうさ、基本的にじゃなくて、俺達がすべてを手掛けたんだよ。

――で、このアルバムを作った本当の理由というのは何だったんですか?「ALIVE V」と次のスタジオ・アルバムまでのファンをつなぎ留めておくためだったのではなかったのですか?

P:いや、そういう風には考えていない。俺達はこれが本当にいいと思ったからやったんだし、俺達にとっても面白いことだし、ファンにとってもご褒美みたいなものだと思ったからさ。

2枚のアルバムの間、みんなを引きつけておこうぜってノリで作ったわけじゃない。レニー・クラヴィッツが俺達の曲をプレイするのを聴く、ガース・ブルックスが俺達の曲を歌うのを聴く、ANTHRAXが俺達の曲をプレイするのを聴くっていうことが本当に凄いと思ったからさ。

本当にそれが事実だよ。君が言ったようなマーケティング策略的なものではなかったんだ。(笑)

――参加アーティストを選択するのはどうやって行ったんですか?参加しているメンツが物凄くヴァラエティに富んでいますし、GIN BLOSSOMSとかMIGHTY MIGHTY BOSSTONESといった今まで聞いたこともないようなバンドも参加していますよね?

P:ああ、でもGIN BLOSSOMSは実際にプラチナムまでいっていなくても、アメリカではそれくらい人気のあるバンドだし、MIGHTY MIGHTY BOSSTONESは「POLYGRAM」のバンドで、このアルバムに凄く参加したがっていた。

――勿論、新しいバンドですよね?

P:そうさ。

――世の中には沢山のいいバンドやミュージシャンがいるわけで、このアルバムに参加するミュージシャンはどうやって決めたのですか?それにこれだけの才能を持った人達が沢山いるんですから、CD2枚組で出しても良かったのではないですか?現実として、KISSは20年間も活動を続けているわけですからね。

P:まぁね。勿論もっとやれる余裕はあるし、もう1枚出してはいけないという法律があるわけでもないけど、これはこれで、色々なバンドが集まったいいものになったと思う。

STONE TEMPLE PILOTSもスタジオ入りする時間を取ってあったんだけど、残念なことに結局このアルバムに参加することが出来なくなった。

でも、俺達が色々な点でこのアルバムに関わって欲しかったバンドは沢山ある。でもそうすることが出来ないバンドがあるってこともわかっていた。

俺達は本当に色々なジャンルの人達に電話したよ。つまり、君が思い浮かべることが出来る人達にはみんな声をかけたってことさ。

――あなた達が本当にこのアルバムに参加してもらいたかったのに、何らかの理由で参加出来なかった人達は例えばどんな人達ですか?

P:政治的な理由だとか、今これに参加するのは自分達にとっていい時期ではないと判断したとか、スケジュールの問題で参加出来なかったとか、そういう人達もいるけど、実際に名前を挙げることは出来ないな。

電話をした人達は凄く沢山いたし、これに参加していたらみんなとても評価されていたと思う。そして実際参加してくれた人達は倍評価されているのさ。

――私はガース・ブルックスがこのアルバムに参加しているのは本当に興味深いと思ったのですが、どういう経緯で実現したのですか?

P:ガースは物凄いKISSファンなんだ。それに驚く人もいると思うけど、彼がプレイを始めた理由「DESTROYER」なんだよ。俺は彼とは数年前に知合ったんだけど、すぐに仲良くなった。彼は凄くいい奴だし、俺達の接点がわからない人はきっと彼のライヴを観たことがないからだ。彼のライヴは基本的にKISSのショウなんだ。つまり、ガースはそれまでは存在しなかったようなものをカントリー・ミュージックに取り入れている人物なのさ。

だからガースに会った時、本当にすぐ仲良くなったよ。それでこのトリビュート・アルバムをやり始めた時にも、彼にこのアルバムに参加してくれないかと声をかけたんだ。彼は即座に「ワォー」って答えたよ。それから沢山の曲を試し始めて、結局、彼とはナッシュヴィルに行って”HARD LUCK WOMAN”をカットすることになったのさ。

この曲での彼は最高だし、本当に興味深いのは、俺が彼にこの曲をアレンジし直しても、違うやり方でやっても構わないって言ったら、彼が「だめだよ、俺はこの曲を俺やKISSのファンが覚えているとおりにやりたいんだ」って言ったことなんだ。

だからこの曲は本当にオリジナルに忠実に演奏されたものなんだよ。でもこの曲ではガースが歌っているというよりはロッド・スチュワートっぽく聞こえるけどね。

――どうしてナッシュヴィルでレコーディングしたのですか?彼をロサンゼルスに呼んだ方が楽だったのではないですか?

P:ガースはナッシュヴィルに住んでいるし、彼のプロデューサーも向こうにいるし、俺達は本当に彼にとってやりやすいようにしたかった。それに正直に言えば、KISSがナッシュヴィルに行くというアイディアもまた違った雰囲気になるんじゃないかとも思ったしね。俺達は本当に楽しんだよ。

――ここで読者に指摘しておく必要があるんですが、KISSは実際ガース・ブルックスと一緒にレコーディングしたんですよね?

P:ああ、そうだよ。俺達はライヴでカットしたし、ガースもライヴで歌って、それを少し手直ししたのさ。でも最高だったよ。さっき俺が言っていた雰囲気というものがナッシュヴィルには本当にあったんだ。ナッシュヴィルでのレコーディングは本当に雰囲気が違っていた。

というのもみんな純粋にフィーリングで勝負するんだよ。それより上手く演奏出来るなんてことは重要じゃない。何がよりいいとか技術的に上手いかとか、彼らはそんなことに興味がないんだよ。足が自然にリズムを刻み出せば、それで出来上がりで、それがいいってことなんだ。

――そういう方がKISSに合っていると思いますか?

P:そうだな。本当にいい哲学ではあると思う。でも時には他の考えの犠牲になる時もある。例えば、みんな何度も何度もくり返し聴くわけだから、もしも完璧なものでなければ飽きられるのではないかとかね。

ここ数年間で最も売れたアルバムの中には文字どおり2年間もスタジオで費やして作られたものもある。しかも、俺が話しているのはヘヴィ・メタルのアルバムについてなんだよ。だから難しいよ。

完全にフィーリングだけでやっているかというのはね。そうは努めているんだけれど、時にはそれ以外のことも考えに入ってしまう。でも次のアルバムではきっと俺達はもっとフィーリングを大切にしてやると思う。

ブルース・キューリック(以下B):そうだね。俺は本当にアコースティック・ギターを手にして座ってプレイしている時にカントリー・ミュージックを思い出すんだ。

それは”HARD LUCK WOMAN”がこんなにいい出来に仕上がったからだと思う。俺達が使ったスタジオは明らかに彼がこれまでの偉大なアルバムを作った場所だったしね。それはナッシュヴィルのミュージック・ロウにある小さな建物なんだけど、レコーディング・スタジオもレコード会社も、凄くクールだった。

だけど、ガースを本当に特別なものにしているのは、彼がそれを大きなショウのようにレコーディングしたという事実だろうね。彼は本当にビックなロック・コンサートでもあるかのようにやったんだ。

――実際の話、そういう風にカントリー・ミュージックもここ数年の間に変わってきていますよね。凄い量の照明を使ったり、機械でスモークを焚いたり、レザーを着たりして・・・。

P:そうだね。大きな違いと言えば、今のカントリー・アクトのほとんどが、ハンク・ウイリアムズを聴いて育ったのと同じくらい、KISS,QUEEN,AEROSMITHを聴いて育ったことだ。

だからカントリー・ミュージックをやっている連中に「影響を受けた人は?」って尋ねたら、彼らは「ハンク・ウイリアムズ、EAGLES,KISS」って答えるだろうな。

色々なものが詰まってるのさ。ポットの中に他の沢山のものが投げ込まれているんだ。

B:今でも曲はシンプルなままだと思うけど、違うのは、彼らがギターをうならせたり、照明をふんだんに使った大きなショウをやるようになったことさ。

――勿論それは重要なことです。(笑)

B:そうさ。でもこれって俺達にとっては興味深いことだった。

――それで、あなた達全員がナッシュヴィルに行ったのですか?

B:そう、みんな行ったんだ。ガースが歌って、俺達はバック・バンドだったよ。でも彼もマンドリン・プレイヤーを連れてきたけどね。

――このアルバムのプロダクションを総指揮しているのは誰なんですか?

P:俺達がアルバム全体の指揮をとってるんだけど、でも各曲についてはそれぞれのバンドが自分達でやっているよ。

――つまり、彼らが自分達でプロデュースしてると受け取っていいわけですか?

P:いいよ。でなければ、彼らが自分達でプロデューサーを起用しているかだね。それで、彼らが仕上げた後でそのテープを俺達のところに持って来たんだ。ジーンと俺でANTHRAXのプロデュースはしたけど、それ以外はバンドに自分達でやったものを俺達のところに持って来るように言った。

みんなに自分達なりに俺達の曲を解釈したものを持って来いって言ったんだ。俺達の曲を自分達の曲にしろってね。

――ANTHRAXの”SHE”のプロデュースの話はどういう経緯で出てきたんですか?彼らにたのまれたのですか?

P:そう、頼まれたんだ。本当に楽しかったよ。俺達は彼らのことをよく知ってるし、他の人間と一緒に仕事をするというのはそんなに実のあるものにはならないかもしれないって思っていたんだけど、実はそんなこと全然なかった。

俺は誰か他の人間が俺達の作った曲を歌っているとは考えていない。彼らが自分達なりの解釈をするのを俺達が手伝っているっていうのがこのことに関する実感だね。各人が自分自身のものを作っているっていうのが実態だと思う。

――実際に、曲はどのようにして選択したんですか?アルバムに参加するアーティストが決まった時点で既に彼らに用意された曲のリストがあったのですか、それとも彼らの一番気に入っている曲をやるように頼んだのですか?

P:彼らに曲を選ぶように言ったのさ。

――2つ以上のバンドが同じ曲をレコーディングしようとしたケースはなかったのですか?

P:う〜ん、そういうバンドも2,3あったよ。でも大抵は「AとBとどっちの曲やったらいいかな?」って誰かが訊きに来たら、「Aはもう既に他の奴が選んでしまったよ」って答える感じで、その辺は本当に上手くいった。ほとんどが他の人達が選ばなかったものを選択してたよ。

――選択された曲を知って驚きましたか?

P:いや、全然。

――では、彼らの選択に満足だったわけですね?

P:勿論さ。何でそんなこと訊んだい?

――いえ、例えば”GOIN' BLIND”なんて、私はそんな曲があることすら忘れていましたし、KISSのヒット曲というよりはかなり印象の薄い曲のように思えるのですが・・・。

P:う〜ん、”GOIN' BLIND”は「HOTTER THAN HELL」からの曲だよね。DINASAUR JR.はあの曲を自分自身のアルバムに入れるような話もあったけど・・・。

――アルバムはどこまで進んでいるんですか?

P:最終段階に入っているよ。もうミックスは終わっている。と言うよりは、俺達は曲をミキシングしていないのさ。このアルバム用の曲はどれも仕上がった状態で俺達の元に届けられているんだ。
俺達もやりやくなかったしね。みんな仕上がったものを俺達のところに持って来てくれたのさ。

――アートワークはどういうものになる予定ですか?

P:本当に格好いいよ。まだ話すことは出来ないんだけど、本当にクールなものだ。かなり興味深いものだし目を引くと思う。

――こういったバンドがあなた達の曲をやったことで、KISSの評価が高まったと思いますか?

P:ああ、評価というか・・・いつでも自分達に対してうなずいてくれる人がいて、自分達の曲をレコーディングさせてくれと言ってくれる人がいるということは最高の賛辞、最高の褒め言葉だと思う。

そういうことを言ってくれる人間ってそう沢山いないわけだしね。そういう意味では、参加したバンド全員がKISSには親指を、評論家達には中指を立てているみたいなもんだよ。

――先程、”トリビュート"アルバムという呼び名にはあまりしっくりこないという話をしましたが、それ以外の呼び方で、このアルバムを呼ぶに相応しい言葉は何だと思いますか?

P:そうだな、俺たちがこれをトリビュート・アルバムと呼びたくないのは、まるで物凄く独りよがりな感じに聞こえるからだ。勿論、これはトリビュート・アルバムだけど、でも俺達はまだ死んじゃいないよ。

――シングルに関して何かアイディアはありますか?

P:いや、ないよ。まだそれに関しては全然考えていない。

――レコード会社によると、ドキュメンタリーのビデオを作るという話もあるそうですが?

P:ああ、みんなとスタジオで色々撮影したからね。それに沢山のバンドがスタジオに入っている時に、彼ら自身でも撮影してたよ。だからきっと長いビデオになるだろうな。

――KISSはもう年老いた疲れ切ったバンドだからもっと前に引退しているべきだったという話を何度か聞いたことがありますが、今回のことは、新しいマーケティング・アイディアに思えますし、あなた達が生き残りをかけてやろうとしていることの1つでもあると思います。このことに関してのあなた方の考えはどうなんですか?

P:そうだな、俺達はまだくたばるには程遠いところにいると思う。疲れ切っているというのも本当に当てはまる言葉とは思えないね。

でも確かに、それに今朝も全く同じ話を誰かとしたばかりなんだけど、20年間もバンドをやっていると2年や5年しかやってないバンドと違って、贅沢が出来る面もあるし、常に自分達のバッテリーを充電しておかなければならない責任も出てくるんだよ。

それに”売上”と”疲れている”かどうかを同じに考える奴もいるけど、新しいアルバムが過去のものと比べて売れなかったとかそういうことが俺達にとって重要であったことは1度もない。

'81年に、インタビューでバンドが終わったらどうするつもりかって訊かれたことがある。その時はバンドが8年目に入っていたけど、バンドがさも終わるかのように質問されたよ。周りがそう言い始めたのは、俺たちに関するすべての売上があまり伸びていなかったことと、特にアルバムが上手くいってなかったからさ。それで俺はある奴に「FUCK YOU!」と答え、ある奴には「俺は別に前回のアルバムの売上と今回のとを競うつもりはないし、こういうことは順繰りに起こることだし、俺たちは好きでやってるんだよ」って答えた。

それを証明するかのように、2年後には俺達はまたプラチナ・アルバムを作ったしね。それで、君の質問に戻るけど、”疲れてる”っていうのは適した言葉じゃないと俺は思う。

でも、確かに20年経ってもバンドは常に・・・それは2年しか経ってないバンドでもそうだけど、常にエネルギー源になるものを何か見つけていないとだめなんだ。

それにしてもトリビュート・アルバムがただ単に俺達を売り込むための1つの手段だとしたら、こんなに沢山のバンドが参加してくれたとは思えないね。だから25枚ものアルバムを出した後、他の人達が自分達に対して脱帽するくらいの偉業を成し遂げたとは思っても、疲れたと思うかい?疲れているんじゃないんだよ。

俺は「ALIVE V」も「REVENGE」も素晴らしいアルバムだと思ってるし、それが俺達の初期や、初期から中間期にかけてのアルバムと比べて売れたかどうかなんて大したことではないんだ。

俺達の売上げはいつもローラー・コースターみたいだからね。売上げに関して記録的な年もあればそうでない年もある。でも、それが一番大切なことではない。俺は1枚のアルバムを売る前からギターを弾いているわけだし、7千万枚のアルバムを売った後でも弾いているわけさ。

俺はそれをこの先も続けていくだろうし、バンドもそうだよ。

B:俺達は、ただアルバムを作ってツアーに出て、その後1年のオフをとってた何年か前より、ここ2,3年の方がずっと忙しくなっているんだ。

だから君が俺達に対して言ったことにはちょっと驚いている。でもきっと君は俺達が日本にツアーに行っていないから俺達が疲れていると思っているんじゃないかな。

P:いや、どうしてそんな話が出たのか俺にはわかる気がするよ。でも実際の話、ある時期に1枚のアルバムを出して、そのアルバムが物凄く売れたとする。

でもそれと全く同じアルバムを別の時期に出しても、その当時に流行っているものだとかによって売上げが大きく違ってくるもんなんだ。

しかもどれだけ自分達がいいものを出したかとは全く関係ないのさ。だから、それは俺達がどうこう考えられる問題ではない。例えば「REVENGE」は「DESTROYER」ほど売れなかったけど、でももし「REVENGE」が10年前に出てたとしたら、今の10倍は売れていたかもしれない。

でもそれは純粋に音楽をやっているとは言えないんだ。天候やその他世の中で起こっていることも気にしていることになる。俺達はただ俺達のやることをやっていて、もし君がそれを聴いてくれたらそれはそれで最高だってことなんだよ。

――私は「REVENGE」は特にいいアルバムだと思っていますよ。あなた方のベストなものの中に入ります。

B:そうさ、俺達もあのアルバムは本当に誇りに思っているんだ。

P:俺達は自分達のやることをやり、それに関していい気持ちになればそれで満足なんだよ。俺達「CREATURES OF THE NIGHT」の時も気持ち良く感じたけど、恐らくあれは常に2番目に低いセールスのアルバムのはずさ。

でも、未だに俺達のお気に入りの1つだよ。

――最近MTVを流れているのはヒップ・ポップ、ラップ、オルタネティブばかりですが、今の音楽事情はKISSのようなバンドにとっては大変なことなのでしょうか?

P:いや、それより今活躍しているバンドが、今後も活躍し続けることの方が大変だろうな。変に聞こえるかもしれないけど、バンドが大きくなることなんてそんなに難しいことではない。

そのまま続けることの方がもっと難しいのさ。今も凄くいい音楽は沢山あると思うけど、俺の好みじゃないものも沢山ある。でも事実として、新しいものが人目を引くっていうのはあるからね。いいんじゃない。

――そうですね、KISSをスタートし始めた頃それを証明してましたよね?

P:ああ、でもアンコールで何をやるつもりだい?その後は何をするんだい?あと何匹のうさぎを帽子から取り出せるだろう?そんなことは長く続かないよ。遅かれ早かれ自分達の音楽で勝負しなければならない時がやって
くるということだよ。

B:ああ、新しいものも出てくる分にはいいよね。

考えてみても、同じような音楽ばかりじゃ、ちょっと飽きてくるからね。でも重要なことは、それが息の長いものかってことさ。新しい音楽には誰もが興味があると思うけど、でも中にはほんの数ヶ月の命のものもある。

それでおしまいになってしまって、2枚目や3枚目はないんだ。バンド自体がなくなっていたり、ドラッグで自分達をだめにしてしまったりしてね。僕は9年前にこのバンドに加入した時、自分が歴史の一部になったような気持ちだった。

でもKISSも'80年代、'90年代初頭に沢山の変化や色々なことが起こって、実際ショックを受けたことも多かった。

でも俺はバンドが本当に何かをやりたいのかわからなかったけど、自分のベストを尽くそうって思ってたよ。

だから'90年に入ってからは、俺は加入した時よりずっとバンドが出来る事、俺達が向かっていることに関して誇りを持っている。俺は売上げの数字には本当にこだわらないけど、最も重要なことは俺達全員がアルバム「REVENGE」、トリビュート・アルバム、「ALIVE V」を誇りに思っていることなのさ。

それに次のスタジオ・アルバムもきっといいものになるよ。

P:つまり、どういうものにもそれに適した場所っていうものがある。物事は常にバランスがとられているのさ。

――「REVENGE」を制作している時、何か新しい息吹きや自分達が新しい分野を開拓しているという風に感じましたか?

P:ある意味では昔に戻ったと言える。新しい分野を開拓したとは思っていない。ただ自分達の演奏が良くなっていることで新たなエッジが効いているとは思う。恐らくミュージシャンとして自分達が良くなってきているということで、新しい方向性は出てきていることは確かだけど、自分達が新しい分野を開拓しようとは思っていない。

どちらかと言えば、昔の雰囲気を取り戻そうとは考えている。でもレトロなアルバムを作ろうとしているんじゃないよ。そんなのに俺達は全然興味はないさ。

――そうですよね。「REVENGE」は私にとってはヘヴィなアルバムですが、それでいてシンプルですよね?

P:ああ、俺もそう思う。でもあれは俺達で計算したものではない。

――セールスと言えば、「REVENGE」の売上げはどうだったのですか?

P:世界的には恐らく100万枚と半分てとこかな。

――「ALIVEV」もバンドが期待していたところまでいったわけですか?

P:いや、全然。かすりもしなかった。

――何故だと思いますか?

P:わかってるだろ。

B:そうだな。、多分、スタジオ・アルバムじゃなかったからじゃないかな。

P:何度も言うけど「REVENGE」をリリースした時もセールス的にはがっかりするかもしれないとは考えていた。

でもがっかりしたとしても100万枚と半分も売ってれば、まだ俺達はそれなりに良くやってると言えるよ。でも「ALIVE V」は純粋にこれがバンドのドキュメンタリーのライブであり、過去の2枚のライブ・アルバムの伝統をかなり受け継いだものだったし、俺たちももっと良い結果が得られるだろうと期待していたから、結果に関しては残念だよ。

ま、昔の2枚のライブ・アルバムと同じくらい売れるだろうなんて少しも考えなかったけどね。でもこの売上げがどれだけ貧弱なものだったかに関しては今でも驚いているくらいさ。

アメリカではいつかプラチナムになるかもしれないけど、それがすぐに起こるとは思えない。今はゴールドなんだ。アメリカで80万枚売ったから、もう少しってところだね。

でももしデビュー・アルバムで80万枚も売っていたら、俺はゾクゾクしてたと思う。

だから、25枚目のアルバムで80万枚売れたらそれはそれなりによくやっているってことさ。次のアルバムでも同じことだ。俺達のキャリアはアルバム1枚で作られもしなければ、壊れもしない。それって凄いことさ。今の時点では俺たちが成功しようが失敗しようがそれがすべてではないってことだよ。

――私は最近ピーター・クリスと写真撮影をしたのですが、彼は私にオリジナルのKISSのメンバーで再結成が出来たらいいだろうなって言ってましたよ。

P:彼にとってはいいことであることは間違いないね。(笑)

――ええ、ここ数年の傾向として、息の長いバンドが再結成することも多いですよね?

P:ちょっと待ってくれよ、ジョン。オリジナルのバンドでツアーする予定なんて全然なからね。

以前のメンバーが何を言ってるか知らないし、エース(フレーリー)やピーターが悪口か何か言ってるかもしれないけど、あの2人が俺達と一緒にバンドを始めてくれなかったら、俺はここにいなかったし、バンドも存在しなかったことは確かさ。だから俺はあの2人に対しては悪い感情は持っていないし、幸運を祈ってるんだよ。

でも今言えることは、再結成の予定は全くないってことさ。

――実際の話、彼の方にも敵対心みたいなものはありませんでしたよ。バンドのことを話している時とても誇りに思っている感じでした。

P:俺達4人が創り出したマジックを否定することは出来ない。それぞれの人間が別々の道に進んでも進まなくても、俺達が一緒に成し遂げたことを非難するなんておかしいよ。

初期にピーターとエースの2人がいたことは本当に助けになっていたとしか俺には言えないし、心から彼らの幸運を祈っている。それに俺に出来ることが何かあったら、2人にもこれは言ってあるんだけど、例えば一緒に曲を書いたりとか何でもいいんだけど、そういうことならいつでも大歓迎さ。

――ピーターは最近リリースしたEPで”BETH”をやっていますよね。それに夏までには、フル・レングスのアルバムを出すことになっているんですが、エースがそのうち3曲やることになっています。で、私の興味を引いたのはガース・ブルックスも1曲やることになっていると言ったことなんですよ。

P:誰が何を言ったか知らないけど、そのうち真実が何かわかってくるし、どれだけみんなが早呑み込みでものを言っているかわかるよ。

他に俺には何も言えないけどね。

――言葉を失っているようですね(笑)

P:いや、感じのいい人間でいたいだけさ。それに、俺はイエスともノーとも言えないよ。さっきも言ったように、俺は2人に対して幸運を祈ってる。

彼らは成功するためにバンドを脱退したんだからね。

――彼らは自ら脱退したんですか?

P:ああ、ピーターは首にしたんだ。エースとジーンと俺でピーターは首だって決めたのさ。

当時彼が抱えていた沢山の問題のおかげで、俺達は彼とは一緒にやっていけなかった。ドラッグ、アルコール、人間関係、個人的な問題など沢山あったよ。

それが本当に酷い状態になって、エースでさえ、彼にバンドを辞めて欲しいと思うようになった。それからエースもバンドを抜けた。

エースは本人に理由があって辞めたんだけどね。でも正直言って、奴らが成功しないって理由はないよ。

この世界はみんなが成功するに充分なくらい大きいからね。

――KISSが今でも15年前に言われたと同様に業界から尊敬の念を持たれていると思いますか?

P:15年前にも俺達が尊敬されていたとは思えないけどね。みんな俺達がやっていたことに度肝を抜かれていただけで、それは尊敬の念とは程遠いものだった。

馬が20フィートもある台からプールや水の中にジャンプするのを見て驚いたりするけど、だからと言ってそれは尊敬の念を感じるとは違うだろ?尊敬の念なんて全然ないよ。今尊敬されちるかって?みんな俺たちが息の長いバンドだってことにびっくりしていると思うけどね。

確かに15年前にやっていたことより尊敬に近づいているとは思う。15年前に俺達が手にした成功には驚くべきものがあったけど、みんなが俺達に尊敬の念を抱いていたかどうかは疑問だ。

――KISSの人気のほどは現在どんなものだと思ってますか?

P:それってどういう意味かよくわからないな。KISSの人気を影響を受けた人間の数で計るのかい?それともアルバム・セールスで計るのかい?どういう意味さ?

KISSはそれぞれの人間に違ったものをアピールしてみせるのさ。ある人間はバンドをやろうと思うかもしれないし、また別の人間は人生のある時期を思い起こすかもしれないし、それが曲であるかもしれない。

でも他のバンドでそんな風に言えるバンドはそんなに多くない。

――KISSの今後の予定を教えてください。

P:新しいアルバム用に曲を作り始めるつもりさ。実をいえば・・・

B:もう既に新曲に関してはかなり真剣にやり始めているんだ。

いいものはみんな時間をかけているし、このアルバムが「REVENGE」よりもいいものになって欲しいと思っているからね。

――ツアーの予定はどうなっているのですか?

P:ツアーのことは次のアルバムを作ってからと考えている。それ以前にやることはないと思う。

――次のスタジオ・アルバムをレコーディングし始めるのはいつの予定ですか?

P:もうすでにレコーディングも始めてるんだ。現在は、新しい曲のバック・ワーキングをやっているよ。いつアルバムが仕上がるかは、見当つかないけどね。

B:早くても、夏か秋のリリースになるだろう。俺達はそんな感じで考えてる。


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