最新アルバム「REVENGE」が1979年の「DYNASTY」以来l3年ぶりのトップ10アルバムとなり、ロック・シーンにおけるその存在の大ききを久々に強烈に昆せつけてくれたKISS。
勿論アルバムがヒットに結ぴ付いたことは単なる”結果”でしかないわけだが、とにかくあらゆる意味において「REVENGE」は、KISSがホンキになったらどれだけコワいか、を見事に示してくれた。
勿論これまでの作品にも"手抜き"などというKISSらしかもぬ行為はなかったはずだが、良くも悪くもマンネリ気昧だったここ数年の作品.状況にカツを入れるかのように登場したこのへヴィな作品によって、彼らはヒットという結異のみならず"これから先の10年”をも手に入れたのではないかという気がする。
KISSの20年間にも及ぷその長い歴史の中でも特に重要な意味を持った作品として認知されるべきこの「REVENGE」を覆い尽くしている重厚な印象は、”GODOF
THUNDER”とも”MAN OF 1,000 FACES”とも呼ばれるKISSのダ―タ・サイドを背魚う男、ジーン・シモンズによるところが大きいと思う。
前回1月末にLAで取材した際は、アルバム完成前ということもあって,実際に聴いた印象に基づいたインタピューをすることができなかったが、8月某日、そのジ―ンに話を訊くチャンスを得ることができた。
ちょうど9月には「X-TREME CLOSE-UP」と題されたバンドの歴史を総括するような内容のビデオも発表されることもあり、現在、過去、そして未来にまたがって様々な質問をぶつけてみることにした。
過去はさほど重要でなない。歩みを止めればジョークになり下がるだけだ。
――まず、当初1月下旬から開始される予定だった全米ツアーが延期になった理由を教えてください。
ジーン・シモンズ(以下G):オリジナルのステ―ジ・セットを作り初めていたんだが、それはかなり変わったもので、我々はその外観が気に入らなかったんだ。我々が求めていたいたものとは全然違っていた。そこで全
く新しいステ―ジ・ショウをすることに決めた。却下されたステ―ジはとこつもなく巨大なものになるはずだったので、どうやってトラックで移動すれぼいいのか.我々にもわからないほどだったんだ。今、制作を進めている新しいものも同じくらい大きいが、移動が簡単なように考慮されている。分解しやすいのさ。アメリカ・ツア―は10月1日にべンシルヴァニアからスタ―トする。ステ―ジの中央には「自由の女神」の像があり,40フィートの高さで、胸から上が突き出ているような感じだ。そして爆弾が登場して、まるで第三次世界大戦がステージ上で起こるようだ……とだけ言っておこう。これ以上はあまり話したくない。「自由の女神」はただステ―ジにじっと立っているだけではなく、何かが起こるんだが...それが何であるかは言わないでおこう,
――では”この世の終わり”とでもいったようなイメージなんですか?
G:世界の終わリだが、希望はある。
――ポール・スタンレの結婚のためにツアーを延期したとの情報を得たものですから、この質問をしたの
ですが…そうではなかったのですか?
G:違う。噂というのはいつも興味深いものだだが、それが真実であることは滅多にない。
――ま、それがツアー延期の理由ではないにせよ、彼は結婚するんですよね?
G:彼は結婚したよ。しかし我々がステージの外観を変えようと決めたのほ4ヵ月も前のことだ。その間イ
ギリスでは「HOT IN THE SHADE TOUR」の際の古いステ―ジ・ショーでツアーをしていた。前回アメリカだけで使ったものだ。だから、同じセットを流用していたならツア―は8月から始められたんだが、前のステージ・ショウの様子が好きではなかった。作り始めた様子が気に入らなかったので、全部作り直すことにしたんた。新しいステージ・ショウはかなり良いと我々は思っているんだよ。
――元々はLYNCH MOBとFASTER PUSSYCATをサボ‐ト・アクに起用することになっていましたが、10月からのツアーでも同じになる予定ですか?
G:今のところ、FASTER PUSSYCATとはまわる予定だがLYNCH
MOBは参加しないだろう。
――でももう一組他のオーブニング・アクトを物色中なんですね?
G:そうだ。まだ決まっていないんだ。
――最近はどんな風に過ごしていらっしゃるんですか?本来なら、ツアー中のはずだったんですが・・・。
G:まず、私は次のアルバムのために曲を書き始めているよ。
――次のアルバムですか?
G:そうだ。曲は常に書いていなければならない。今月の末からツアーのリハーサルを始めることになって
いるから、それが始まったら、1日に6時間から8時間はリハ―サルをする。そして来月末までにフィラデルフィア入リして、10月の初めにはツア―が始まるというわけだ。
――ところでアルバム「REVENGE」は大成功を収め、「ビルボード」誌のチャートでも初登場で6位になりましたね。これは「DYNASTY」以来、実に久し振りのことになるわけですが・・・。
G:そうなのか・・・あまり気にしていないんだよ。
――チャートには関心がない、と?
G:そう。チャートというのはその1週間の様手を伝えてくれるだけだからね。我々にわかっているのは.年末までににはプラチナム・アルバムをもらえるということだけだ。
――実際そうなるのでしょうが、こうした良い反響は期待していまLたか?
G:実はそうでもないんだ。むしろ時間があるのではないかと思っていた。このアルバムはコマーシャルな作品ではないからね。どちらかというと、危害のある音楽こ近い。そうだろ?だからレコ―ド会社は面白くないだろうし、ラジオ局はかけたがらないだろうと思っていた。だが我々はこういう音楽をやらなければならなかった。これが我々の内部にあったものなんだ。こういう音楽を再び世に出すす時機だったのさ。これ以降私達がやる音楽にとっては、レコ―ド会社も雑誌もMTVも実はさほど重要ではない。結局ロックン・ロ―ル・バンドというのは、自分達がやりたい音楽をそのままやることなんだ。自分達らしくやるペきだ。我々も今回、多少のトラブルを予想はてはいたんただが問題はなかった。世界じゅうで順調だ。
――プロデューサーのポブ・エズリンと話す機会があったんですが彼はKISSのことを、へヴィでダークで邪悪なバンドと捉えていると言っていました。あなたは彼のコメントをどう思いますか?
G:・・・どうだろうね。もしかしたら彼は、アルバムを作っていた時に我々が感じていた怒りに反応してそう言ったのがもしれない。沢山のエネルギーがあった。しかし、邪悪だとは思わない。我々の中には誰ひとり馬鹿はいないし、クスリもやらない。そういうバンドではないよ。私達は酒を飲んで休暇を過こすバンドではないし、個人的には飲まない。何だかんだと理由があるのではなく、ただ飲まないんた。とにこかくこのアルバムでの音楽は、我々が`今持っている自身を表現していると思う。例えばジムに行って運動をし、ウェイト・リフティングをするという行為は暴力的に見えるかもしれないが、それはただエネルギーを沢山持っているというだけのことなんだ。だからこのレコードには気概(ball)が溢れているかもしれないが、ヴァイオレントだというのとは違うのさ。
――前回のインタビューしたのはアルバム完成の直前だったんですが、初めてアルバムを聴いた時は、とてもへヴィだったので驚きました。1曲目ほあなたの”UNHOLY”でしかが、あなたの歌う曲でアルバムが始まるのは初めてのことですよね?
G:誰もが何か意味があるのでは、と思うようだが、別に計画したようなことではないんだ。ただ好きな曲だから1曲目にしたというだけだ。
――今回のアルバムは前作よりもヘヴィで、多くのファンほポールのアルバムというよりあなたのアルバム
という風に捉えているようですが、どう思いますか?
G:誰の名前がどの曲にクレジットされているかは大した意昧はないと思っている。こ事実は、メンバ一全員
がどの曲にも貢献しているということだ。l人で曲の大半を書いたとしても、全員が何らかの形で関わっている。例えば家をl人で建てて完成させたとしよう。最後にペンキ屋が来て、この家は白い家ではなく赤い家にするべきだ、と言う。そしてペンキ屋が家全体を赤く塗り終えると、その家は、見かけも違い、感じも違い、そして実体も違うものになる。ちょっとした違いなのに、ペンキ屋が家を建てたわけではないのに、だ。家全体が違って見える。それと同じように、曲も、誰かがアレンジに関して、遅くしようとか速くしようとか様々な意見を言う。書いた本人でなくても、曲の感じにいろいろと手を加えることができるんだ。だから私は"ジ―ン・シモンズのアルバム"だとは思わない。これはKISSのアルバムだと思っている。
――最近ではどのロック・バンドもヘヴィなものをやろうとし、それがトレンドのようになっていますが、
あなたもそういうことは意識したんですか?
G:いいやこそんなことほない。ただ我々ののレコードで―番好きなものを振り返ってみた結果ああなっただ
けのことだ。過去のアルバムでべストのサウンドだったものは、どれもが特別な作品だった。私が好きなKISS
のアルバムは、「ALIVE!」「DESTROYER」「CREATURESOF THE NIGHT」だが、どれも独自のサウンドを持っ
ていて、どれにも気概がある。我々は今回もそういうアルバムを作ろうと決めたが、他のものに似たサウン
ドのアルバムを作るつもりはなかった。私が思うには、「REVENGE」は前作とも違うし1stアも、「DESTROYER」とも違う。他のどの作品とも同じには聴こえない。「REVENGE」独自のサウンドだ。しかしそれでも、やはりKISSのサウンドだ。私達はそのことをとても誇りに思っている。
―一ツア―ではいつもあることですが、たとえ新作が発表されたばがりであろうと、ファンほいつも昔の曲
を聴きたがってあなた方を困らせますよね?
G:それほ構わないよ。べつに問題ではないさ。
――最新アルバムから3〜4曲しかプレイしないのがKISSのツアーでは常になっていますが、今回のツアーはいかがですか?
G:ニュ―・アルバムから6曲、そしてあまり知られていないような曲を沢山プレイする。殆どの人達が長い間聴いていなかったB面の曲だ。こイギリス・ツア―でも”PARASITE”や”100,000YEARS”・・・等々を演奏した。15年もブレイしていなかったものだ。
――それは凄いですね。さて、新しいホーム・ビデオの「X-TREME
CLOSE-UP」についてお伺いしますが、このビデオの意図しているものは何ですか?
G:20周年が近いことに気付いたんだ。今これを出したかったのは、海賊盤を作る奴らが同じようなものを作り始めるに違いないからだ。それから、正しい記録を残しておきたくもあった。エ―ス・フレイリーやピーター・クリスに関することや他のいろいろな話について質問が沢山来るので、それに対して真実を語りたかった。それにこれは新しいファンに対して真実を教える機会でもある。「REVENGE」は、メイク・アップ時代のKISSついて何も知らない、全く新しいファンを呼ぴ込むことになるだろう。全く新しい世代のファンだ。だから「X-TREME
CLOSE-UP」はKISSのことをあまり知らないファンと、KISSのことをよく知っているファン双方のためのものだ。それからやはり20周年記念の一環として、ツアーに出たら幾つかの都市でのショウを、ライヴ・レコーデ
ィングするつもリだ。「ALIVE V」を作るためにね。
――それは素晴らしい!
G:ああ、素晴らしい20周年記念になるだろう。「ALIVEV」についてはビデオも作る。そして、とてつもなく大きな、ハ―ド・カヴァ―の本も出す予定だ。もの凄く大きな、机の大きさくらいあるものをね。大昔に見たきりの特別な写真や、バンドの歴史をとりまとめたものだ。殆どの人は知らない、とても奇妙な物語議が含まれたものになるはずだ。あまり他人には話ていない、プライヴェートな話が満載されるよ。その後・・・フフフフ……ツア―の終わりには、誰にも想像できないような特別なことをする。今は話せない。
――それについてはまた改めてお聞きするとして、今回、日本ツアーは期待できそうですか?
G:勿論だとも。いつになるかはまだわからないがね。来年の夏までには・・・ひょっとしたら春頃にはいかれるかもしれない。
――「X-TREME CLOSE-UP」の中で、あなたは"HEAVY
METALBEATLES"という表現を使っていますよね。この言葉がKISSの音楽がいかなるものかを物語っていると思いますが、元々こういうコンセプトでKISSは誕生したんでしょうか?
G:メンバーが最初に集まった時、”楽器を演奏しないリード・シンガーがフロントにいて気ままに過ごしているのに、他のメンバーは楽器の演奏で大変な思いをする”という\ようなバンドは作りたくない、と思ったんだ。BEATLESのように全員が楽器を演奏し、全員が歌え、全員が曲を書けるバンドにしたかった。それがバンドの根底にあったアイデアだ。BEATLESこそがいつの時代にもモデルとなるバンドだよ。BEATLESのようなバンドは他にいない。我々が自分達を既成のバンド群の中でどういう位置に置くかというと、それはBEATLESと同じところだ。
――僕は2日前にビデオを見たんですが、とても楽しませてもらいましたよ。あなた方は'70年代からモノクロの古いものではあれ素晴らしいビデオを沢山作っていたんですね。もしも'70年代にMTVがあったなら、状況は変わっていたと思いますか?
G:どうだろう・・・。MTVには良い点もあるが悪い点もある。MTVの現在の問題点は、24時間流れているがために、曲に飽きてしまうことだ。ついつい見過ぎてしまうんだ。だが素晴らしいのは、面白いビデオが沢山作られているという事実だ。'70年代の音楽は今よりも反逆的だったし、多くのバンドが、レコード会社でさえクレイジーだと思うような事をやっていた。'70年代は今よりも無垢な時代だったと思う。人々は感じたまま行動していた。誰もが同じ格好をしてはいなかった。ZZ
TOP はKISSと同じルックスではなかったし、KISSはAEROSMITHと同じではなかったし、AEROSMITHも当時いた誰とも似ていなかった。誰もがユニークだった。ここのところ多くのバンドが同じように見える時期が長い間続いたが、最近になって、やっとルックスもサウンドも少々違う、シアトルのバンド達が登場した。だがシアトルのバンド同士は同じように見える。目新しいが同じだ。
――'70年代、KISSの真似をした人はいませんでしたよね?というかできなかったのでしょうが。
G:難し過ぎたのさ。実際、本当に真似しているのは、トリピュート・バンドだけだ。彼らは、我々KISS以外の他の誰よりもうまくやっている。(笑)彼らのことは私達は最も誇りに思っているんだ。
――COLD GINのことですよね?彼らのライヴは御覧になっているんですよね?いかがでしたか?
G:とても良かったけれど、カナダにいるDRESSED TO
KILLというバンドの方がもっと良い。カナダのALIVEというバンドもすばらしい。NYのSTRUTTERはエクセレントだ。それからオーストラリアにもそういうバンドがいることは知っている。
――古いKISS、メイク・アップ時代のKISSについて、後悔していることは何かありますか?
G:ない。その理由は、何かに終止符を打ったなら、後戻りする手段はもうないからだ。それに私は、後戻りは
したくない。ステージのマジシャンが帽子からウサギを出したら、見ている人達は「うわぁクールだ。帽子から
ウサギを出したぞ」と言うだろうが、同じトリックを10回、100回と見せられたら、飽きてくる。だから我々は
前進しなくてはならないんだ。でなければ死滅するかジョークなり下がってしまう。今のKISSにとって最も有難く名誉なことは、新しいファンを獲得しているという事実だ。メイク・アップ時代のことなんか関係ない。そんなことは気にしない。気にしているのはニュー・アルバムの「REVENGE」のことだけだ。これはクールなことだ。”GOD
GAVE ROCK 'N' ROLL TO YOU U”や”DOMINO”のような曲、このアルバムに入っている新しい
ファンを獲得したすべての曲が、”過去は大切だ”と示しているが、過去というものに現在ほどの重要性はない。
私には、やりたいことは何でもやれる。
21世紀は政治に挑戦するつもりだ。
――おっしゃるとおり、若いファンは昔のKISSのことを何も知らないわけですが、何故メイクをやめたのか、若いキッズのために説明していただけますか?
G:他に何をやったらいいかわからなかったからさ。コスチュームもステージも、何もかもどんどんビッグになり、まるで漫画のようになっていった。玩具やゲームやピンボール・マシン、KISSコミック・ブックといったものが溢れ、当時のKISSはもはやロックン・ロール・バンドではなくなっていったんだ。太り過ぎたら体重を落とさなければならなくなるだろう?KISSにもあの時、体重を落とす必要があったんだ。メイク・アップも玩具も、ロックン・ロール
・バンドに戻るために捨てる必要があった。
――素顔になった時、名前を変えようとは・・・?
G:私はそう考えたんだ。だが他の誰もが、それは馬鹿げたアイディアだと言った。
――解散の危機に直面したことは?
G:ないよ。我々にはなかった。だがピーターやエースは1978年にバンドを脱けようとした。もう充分やったから
ソロで活動したい。すぐにソロ・アルバムを出したい、と言ってきたんだ。私とポールは、愚かなことをするのは
よせ、ソロ・アルバムを出してもいいからバンドに残れ、と言ったんだ。「自分はKISSのメンバーだと言える人間は何人いる?私達は世界を征服したんだ。他にこんなバンドはいない。特別なんだ。だからバンドを脱けるのはよせ」とね。彼らはソロの活動を始められればそれでいい、と言ったので私達は全員で'78年に同時にソロ・アルバムを出すことに決めたんだ。そうしなければバンドは分裂していただろう。危機はその時だけだったよ。
――新たにまたソロ・アルバムを製作する予定はありますか?
G:ポールと私は、近い将来ソロ・アルバムを作らなければいけないんだ。そういう契約になっている。だから将来的には出るが、すぐではない。今はKISSとしてやっていることに大満足しているからね。
――ソロ・アルバムを作るとしたら、KISSの音楽とはかなり違ったものになるでしょうか?
G:今度はそうではないだろう。以前に作ったソロ・アルバムはかなり音楽的にKISSとは違っていたが、自分が一番得意なものをやるべきだと思うから、”UNHOLY”や”SPIT”のようなサウンドを持った曲をやることになるだろう。
――かなりヘヴィなものになるわけですね?
G:それなりの気概のあるものになるだろう。ヘヴィかヘヴィでないかは聴く人々が決めることだ。私はただ
曲を書くだけだ。
――KISSは過去にメンバー・チェンジを何回か経験していますが、あなたとポール・スタンレーは20年間に亘り一緒に活動してきましたよね。彼のことはパートナーとしてどう思っていますか?
G:実の兄弟のようなものだが、彼と私とはまったく違う人間だ。意見が合わないことが実に沢山あるんだが、
敬意を払っている。意見が合わない人間がいる場合、私はどうして合わないのかが知りたい。尊敬する人なら、意見の違いも尊重できるはずだ。私は”甘い”ものが好きで彼は”酸っぱい”ものが好きだ。だから時々、”何故彼は甘味が嫌いで酸味が好きなんだろう?”と知りたくなる。”何故彼は塩ではなく胡椒だ好きなんだろう?”とね。そういうものが混ぜ合わさって、バンドというものが良くなるんだ。たった一人でやるよりもずっと良くなる。BEATLESのファンだった頃のことを思い出すが、BEATLESのメンバーがソロ活動を始めた時、どのソロ・アルバムもBEATLES時代のアルバム以上に良いものではなかった。他のアーティストのソロ・レコードについても、バンド本体のレコードより良いものはない。雑誌はジーンとポールのバンドだと書き続けるが、エリック・シンガーとブルース・キューリックもバンドにとっては同じだけ重要な存在だ。たとえ雑誌にはあまり書かれないとしても・・・。
――僕達は書きますよ。・・・この20年間の間に、ポールは変わったと思いますか?
G:いや、殆ど変わらない。彼は昔から、自分が何をやりたいか、物事に対してどう感じているか、といったことについてハッキリしている人間だ。これは良いことだ。少なくともその性格の陰に何らかの考慮があることがわかるのだからね。毎日起状が激しかったら、何がどうなっているか決してわからない。そして何を強く感じているかもわからない。大切なのは視点、性格、そして意見だ。
――あなた自身についてはどうですか?かなり変わったと思いますか?
G:私は以前よりも頑固になり傲慢になり、そして自分自身よりもはるかに良くなっていると思う。なかなか良い気分だよ。
――あなたは”1,000の顔を持つ男”として知られていますが、現在はKISSの活動に専念しているそうですね。演技やプロデュースの仕事には興味を失ってしまたということですか?
G:いや、興味を失ってはいないが、演技や「SIMMONS」レコードでの活動は止めることにしたんだ。他のアーティストのマネージメントも止めた。KISSから遠ざかってしまうから。KISSの活動と他の活動を両立させるために充分なだけの時間がない。KISSをやるのならば、自分の持つエネルギーのすべてを費やすか何もしないかのどちらかだ。「REVENGE」に入っている私の曲が前より良くなったのは、時間をかけたからだと思う。何か良いことことが起こった場合、偶然そうなることは決してない。一生懸命やった結果だ。
――将来、また演技やプロデュースをするつもりは?
G:次の世紀にならね。これからの8年程は、KISSに専念していきたい。
――次にやってみたいと考えているビジネスは、具体的に何かあるのですか?
G:ああ、政治だ。
――・・・大統領になるとか?
G:やらない手はないだろう。自分が、今政治をやっている連中より醜いとは思わないよ。私には、やりたいことは何でもやれるんだ。
――実際、KISSはあなたがやりたいことなら何でもやれるバンドだと思いますが、やるべきではないと思えることは何かありますか?
G:宗教に関わるべきではないと思うし、どういう生き方をしろ、といったことを言うべきではないと思う。寄付する時に公に知らせたり記者会見を開いたりするのも好きではない。そうするバンドが多いからね。何か良いことをする度に記者会見を開いて、雑誌に、どうやって貧しい人達に金を送ったかを説明する。そういうバンドのことは恥ずかしいと思う。我々は個人として様々なことをしている。市民として、だ。だからバンドとしてそうしたことは話さない。KISSはただのロックン・ロール・バンドだからね。ファンあってのロックン・ロール・バンドだ。今もファン・クラブが世界じゅうで大会を開いたりファン・マガジンを出したりしている。日本のファン・クラブの会報は素晴らしいよ。ファンというのは常にクレイジーだ。我を忘れている。そこには沢山の愛と苦労がある。私がそんな彼らに、どの政治家が良いとか、どの宗教が良いか悪いかを言うなんて、罪悪感を感じずにはいられない。誰にも自分で生き、経験し学び、何が良いのかを決める権利があるのだからね。だから私は、今はただロックン・ロール・バンドの一員としてエンターティナーでいたいんだ。他の人達と同じことしか、私にはわかっていないんだ。
――KISSの歴史に関する別の質問ですが、20年間のキャリアの中で、一番後悔していることは何ですか?
G:一番大きな後悔といえば、私の親友が休暇に行ってる間に彼のガール・フレンドが訪ねて来たのに、彼女に手を出さなかったことだ。それを一番後悔しているよ。(笑)
――バンドとして一番大変な時期はいつでしたか?
G:メイクを落とした時だろう。私にとってはとても大変だった。途方に暮れてしまった。自分が誰なのかわからなくなったよ。ポールや他のメンバーは満足していたがね。
―― 一番幸福だった時期は?
G:おそらく今ではないかな。娘が生まれたばかりだし、アルバムは自分が望んでいたとおり素晴らしいものになった。KISSが再び始まったようだ。まるで「REVENGE」が初めてのアルバムであるかのように感じるんだ。新しい歴史、新しい10年の始まりだ。
――ブルース・キューリックが加入してからのKISSはとても安定感を増したように見えますが、彼と他のギター・プレイヤー達との違いは何でしょうか?
G:ブルースは元々はミュージシャンズ・ミュージシャンだった。理性的にプレイしていた。スタジオ・ミュージシャンのように、とても巧いんだが、私には、彼のプレイにエースのような炎が感じられなかった。ヴィニーにも炎はまぁ感じられた。だが今回のアルバムで、ブルースは遂に初期の作品の質に追いついたと思う。理性でプレイすることをやめ、本能でプレイするようになったのさ。ロックン・ロールは理性でプレイする音楽ではないんだ。
魂でプレイしなければならない。ブルースのこのアルバムでのプレイには、本当に驚かされるよ。彼自身も驚いているほそなんだ。自分の中に何があるか知らなかった・・・とでもいったところだろうか。
――あなたは常に”次に何が起こるか”を考えている方だと思いますが、ミュージック・シーンには次に何が起こると思いますか?
G:短髪の時代が来るだろう。
――・・・あなたも髪を切ってしまうつもりですか?
G:私自身が切るかどうかわからないが、音楽は変わらなければならないものだ。気概を持つバンドが登場する時期だ。こういうヘヴィな音楽をプレイしていながら、長い髪には頼らない・・・そしてそうする気概のあるバンドが勝利を収めるんだ。そのバンドは他とは違っているから。
――例えばどういうバンドを指しているのですか?
G:HELMETだ。彼らの「MEANTIME」はエクセレントなアルバムだ。フレッシュで新しい。エキサイティングでしかも怒りに満ちている。HELMETはエクセレントなバンドだ。面白いことがいろいろと起こりつつある。HELMETは私にはスラッシュ・メタルには聴こえない。何か新しいものに聴こえる。シアトルのバンドとも違う。何が違うのか私には分らないが、とにかく違っている。それにルックスも他のバンドとは違っている。時間はかかるだろうが、多くのバンドが勇敢になっていくことだろう。ロックン・ロールのシーンには勇敢なミュージシャンが必要だ。同じ見かけ、同じサウンドばかりになると、ロックン・ロールはビジネスになってしまう。ビジネスになったらロックン・ロールは終わりだ。少々危険で少々ラウドで、少々変わっていなければいけない。
――ですが、KISSはロック・ミュージックをビジネスにした最初のバンドのひとつといえますよね?
G:・・・そう、私達は自分達がやることをやり、自分達が何をどうやっているか確かめていたかった。だが、私達は他人のことを気にしなかった。頑固に自分達のやり方でやった。
――HELMET以外にも、いろいろと新しいバンドを好んで聴いているのですか?
G:ああ、私はあらゆるものを聴いている。ファンやレコード会社がいつもテープを送ってきてくれるだ。HELMET以外では、TOOLというバンドを聴くべきだ。面白いバンドだ。とても面白い音楽だよ。PANTERAのアルバムも面白いが、ちょっとスラッシュっぽい。決して新しいとは思わないし、ちょっと古臭いが、それでもユニークな音楽
ではある。新しい音楽をチェックしたいのなら、HELMET,TOOLがとても変わっていて興味深い、とだけ言っておくよ。
――プロデュースしてみたいバンドはありますか?
G:いや、時間がない。一緒に仕事をしたいバンドは、実は沢山ある。昔、FACE
NO MOREをプロデュースしないかという話もあった。あらゆる種類のバンドからオファーが来た。その中で実際にプロデュースしたバンドとは仕事を楽しんだが、KISSの仕事をしながらは不可能だ。充分な時間がない。
――質問を変えますが、これからの予定を教えていただけますか?ツアーのリハーサル以外に何か・・・?
G:これから2週間の間に、爆発物や爆発性のガスの関係者と会って、新しい特殊効果を作る相談をする。それからステージも担当者と会って、状況をキチンと整えるべく確認をする。そして8月の終わりからリハーサル
を始め、9月の終わりまでにはペンシルヴァニアに入ってツアーを始めるというわけだ。
――さて、最後に来日を待っている日本のファンにメッセージをお願いできますか?
G:勿論だとも・・・何と言えばいい?(笑)
――何でも結構ですよ。(笑)
G:長い間待っていてくれて、とても有難いと思っている。私達にとって、とても意味のあることだ。アメリカのステージ・ショウをそのまま持っていきたい。日本のファンに、まるでアメリカの都市で観ているような気分になってもらえるようなものにしたい。次のKISSのショウを観たら、それが一生忘れられないものになることを今ここで約束しておくよ。 |