自分がやるからには、価値と意味のある仕事でなくては嫌なんだ!
新作発表は5月、プロデューサーはロン・ネヴィソン
Q昨夜ジーンと電話で話したら、彼は大分疲れている様子でしたが....
P:そうだろうね。彼は沢山のプロジェクトに関わっているし・・・。とはいっても実際、俺は彼のやっていることについてはあまりよく知らないんだけど。
Qで、あなたの近況は?
P:次のアルバムのための曲作り・・・。それに2本ほど映画製作の話があるんで、その関係者とミーティングしたり・・・。あとはまぁ楽しい日々を送っているよ(笑)
Qどんな映画なんですか?
P:まだ、あんまり詳しいことは言えないんだけど・・・とてもいい映画で、かなりの大作だとだけ言っておくよ。
Qジーンがやっているようなタイプの役柄ですか?
P:いや、全然違うよ。ジーンはジーンだし、俺は俺。ジーンみたいな役はやりたくないよ。(笑)
Q撮影はニュー・アルバムのレコーディング終了後・・・ということになりますか?
P:NO,先に映画の方を済ませてしまう。レコーディングは2月頃になるだろうね。だからアルバムのリリースは、来年の5月あたりになるだろうと思うよ。
Q普段に比べて、少々ペースが遅いんじゃありませんか?
P:そんなこともないと思うけど・・・。まぁ、たまにはいいことさ。毎年9月にアルバムをリリースしていくことは、俺達にとって全然難しいことではないけれど、何時もとは違った何か特別なことにトライするとなれば、当然今まで以上に長い時間を要することになるわけさ。今回はプロデューサーにロン・ネヴィソンを起用して、本当にスペシャルなことをやろうとしている。もう曲の方もかなり揃っているし、いつもどおりにやろうと思えば今すぐにでも出来るわけだけど、敢えてそうせずにいるのさ。とにかくベストを尽くすつもりだから、俺達を信じて待っていてくれよ!
Q勿論!(笑)ジーンはスピード・メタル的な曲を作っていると言っていましたけど?
P:あんまりスピード・メタルを演りたいとは思わないなぁ(笑)いきなりメタリカみたいなサウンドにしたいとも思わないしね。他の何者でもなく、あくまでも俺達は俺達らしくありたいと考えているんだ。まぁ、その類いの曲を他人に提供したり・・・というのはあり得るだろうけど・・・。
Q今回もまた、キッスのメンバー以外のソングライターと共作しているんですか?
P:主にデズモンド・チャイルド(ここ数年のアルバムでポールと共作しているライターで、最近はボン・ジョビのの曲作りにも協力している人物)とコンビを組んで書いている。他にも2〜3のライターと仕事をしてみたけど、のめり込む程のものは得られなかった。ポップ過ぎて満足出来なかったとかね・・・。俺が求めているのは、他の誰かと共作しても自己のアイデンティティを失わないようなソングライターなのさ。
Qジョン・ボーヴォワー(これまたキッスのアルバムでは常連のライターで、元プラズマティックス、リトル・スティーヴン&ディサイプルズ・オブ・ソウルのメンバー。今年に入り、ソロ・デビューを果たした)との共作はありますか?
P:いや、今のところ彼はLAにいるけど、プロモーションのためすぐにNYに飛んで行かねばならないし、彼はもう自分の仕事に大忙しだからね。だから、もう一緒には書けなくなるかも知れない。彼には彼自身のツアーがあるし、それが済んだなら今度は自分のために曲を書かねばならないわけだからね。
Q曲作りの面で、10年前から比べて何か変わったことはありますか?
P:大きな違いがひとつあるとすれば、それは、今の方がより時間的に恵まれているってことだろうね。昔はツアーを終えてすぐに・・・とか、ツアーをやってる最中にスタジオ入りしなければならないことも多かった。そう、確かにリリースのペースが早かったからね。だからスタジオの中で作った曲もかなりあるんだ。3枚目のアルバムの[DRESSED
TO KILL]の時もそうで、他のメンバーよりも先に俺とジーンの2人がスタジオに閉じこもって、毎日曲を作ってたんだ。そうやってキッスのナンバーは作られてきたんだよ。(笑)確かに、そういったプレッシャーのもとで曲作りに励むのは、いいことでもあるんだろうけどね。今は、朝起きて、曲を書いて・・・みたいな生活が出来ているから・・・。
Q今回、外部のプロデューサーを起用するのは何故ですか?ここ2作では、あなたとジーンですませていましたよね?
P:俺は、俺自身がレコーディング・スタジオで何を出来るかよくわかっているつもりさ。でも、本当に優秀だと思える人物がいたならば、その人の仕事ぶりも見てみたいものさ。俺が思うに、本当にいいプロデューサーなんてそう何人もいるもんじゃない。ほんの一握りの人達だけだと思うんだ。ロン・ネヴィソンは間違いなくそんな中の一人だというわけさ。
Qあなたの言うところの、いいプロデューサーというのはどんな人のことですか?
P:曲そのものの持ち味やソング・ライティングをよく理解し、適切な指示をすることの出来る人のことだろうね。中には、俺達が何をどうやっても、やれ"GREAT"だの"GOOD"だの言って調子よく仕事を進めていくプロデューサーもいるけど、本当にいいのがどの曲なのかわかる人で、必要な曲とそうでない曲とを見分ける判断力のある人でなくてはならない。音楽を良く知っていてね。これはプロデューサーとしての、最低限のことだと思うよ。
Qロン・ネヴィソンを選んだ理由は?
P:ロンとはもう10年くらいの付き合いになるんだ。最初、俺のソロ・アルバムの仕事を手伝ってくれたのがきっかけで知り合ったんだけど(ちなみにソロ・アルバムのプロデューサーはロンではなくジェフ・グリッスマンだった)、それ以降に彼の手掛けたアルバムはどれも気に入っているよ。多くのベイビーズのアルバや、"JANE"のはいっていたジェファーソン・スターシップのアルバム・・・。確かそれ以外にもジェファーソンは何枚かプロデュースしていたと思うし、他にもバッド・カンパニーやレッド・ツェッペリンのエンジニアをやったこともあるはずさ・・・。オジー・オズボーンの[THE
ULTIMATE SIN]も良かったね。
Qあなたの音楽的ルーツに関わってきた人でもあるわけですね?
P:まぁ、そんなところかも知れないね。とにかく彼はよく心得たプロデューサーだし、そういう人物と一緒に仕事をするというのは、実にいいものだよ。
QレコーデイングはNYで行うんですか?
P:さぁ、わからない。ここ(LA)でやりたいとも思っているんだけどね。
Qレコード会社の意向とか・・・?
P:NO,レコード会社は何でもないよ(笑)彼らの仕事はレコードの値段を決めることくらいのものさ(笑)レコードも、アルバム・カヴァーも、製作するのは俺達自身であって、レコード会社に縛られているようなところは一切ない。彼らが音楽的な判断を下すわけではないんだからね。
もうすぐこの髪を、バッサリと切ることになるよ
Q曲作りや映画のプロジェクト以外に、何か今やってることはありませんか?基本的にはオフの期間だし、時間も結構あるでしょう?
P:まぁね。ウ〜ン・・・例えば今のような時期なら、他のバンドと一緒にスタジオに入ったり、プロデュースを手掛けてみたりするのにも充分に可能なわけだけど、俺は個人的にはあまりやりたいと思わないんだ。何故なら、さしあたってそうするべき価値のあるバンドのもお目にかからないし価値のない仕事で時間を費やすくらいなら、フリー・タイムを持っている方がずっと有意義だと思うからさ。べつに、マーシャル・アンプを使っていて、いかにもHM的なヘアー・スタイルをしてさえいれば俺が興味を持つ・・・・ってわけじゃないからね。(笑)俺が自らやるからには、それなりの意味や理由がなければ嫌なんだ。今は・・・そう、自宅に小さなスタジオが
あって、ちょうど昨日配線を終えたところなんだけど、そこに閉じこもって何だかんだやっているのが楽しみでもあるんだ。ここのところ、ずっとLAにいるわけだけど・・・まぁ、楽しみながら気楽に過ごしているっていうところかな。勿論仕事は大好きだし、次のツアーに出るのを今から楽しみにしている程だけど、何もしなくていい時には何もしないでいればいい。こういう時に何かに手をつけても・・・そう、例えばバイクに乗る練習をしているのと同じことで、乗って走ってみてはいても、それでどこへ行きつくわけでもない。その辺をまわっているだけで、目的地なんてないわけさ。何かをなしとげたような気になっていても、実は何もなっていない・・・なんて
こともよくあるはずだよ。それなら、敢えて何もしないで楽しい日々を送っている方がいいだろう?中途半端なことをやるよりも、友達や女の子達を呼んでワイワイやってる方がね・・・。
Q毎日、ゆっくり眠っているんでしょう?(笑)
P:起きるのはいつも12時か1時頃。昨日はスタジオの配線にかなり遅くまでかかっていたから、今朝は1時頃だったかな。で、起きて・・・曲を作って・・・という毎日さ。それに映画。勿論、映画にしても、楽しいだけじゃなくていい仕事をしたい。それなりの価値があるものでなければやりたくないね。
Qひょっとしたら、映画出演のために髪を切らなければならなくなるのでは・・・?
P:勿論。当然そうなるだろうね。
Qそうするだけの価値のある仕事だ・・・ということですか?
P:そのとおりさ。まぁ、ヘアーのイメージは大切なものかも知れないけど、それだけが俺のアイデンティティというわけではないし、それが総てではないんだからね。髪を短くしたからといって死ぬわけでもないし・・・(笑)
Q心配なのはツアーが始まるまでに伸びるかどうかなんですが・・・(笑)[ANIMALIZE
TOUR]の時、ジーンはカツラを使っていたでしょう?
P:あぁ、でも大丈夫さ。映画の撮影の方は、あと3〜4ケ月もすれば終わる見通しだし、ツアーが本格的に始まるのは、'87年の夏だからね。それのは充分間に合うと思うよ。
Q伸びるのは速いんですね(笑)
P:凄く速いんだよね(笑)
Qところで、”夏”といえば今年の夏は「モンスターズ・オブ・ロック」に出演する噂が流れていたんですが・・・・
P:そう、実際行く予定だったし、オジーも呼んでくれていた。俺達自身も凄く楽しみにしていたんだよ。だけど、
もしも本当に出演していたとしたら、それはキッスにとって、約4ヵ月に及ぶブランクの後のショウになっているわけさ。ツアーの最中ならともかく、そういう時のコンサートって、どうしてもラフなものになりがちだろう?
Qリハーサル不足もあるだろうし・・・・・。
P:いつもツアーの最初の3〜4回のステージは、少々ラフな感じになってしまうものなんだ。「モンスターズ」に出たとしても、きっとそうなっていただろうと思う。俺達はいつだってオーディエンスに"GREAT!"と思われていたい。中途半端な状態でステージに立つのは、ファンに対しても失礼なことだと思うし・・・・。
Qなるほど。でも来年はヨーロッパ・ツアーも予定に組み込んでいるんであしょう?
P:ツアーのスタートはアメリカからになるけどね。7月4日(独立記念日)にはアメリカにいたいしと思うし・・・。
Qジーンとはあまり会う機会もないようですが、ブルースやエリックとはどうなんですか?
P:ジーンと俺とは、まるっきり別の仕事をやっているし、お互いのスケジュールがかみ合わないから、あまり会えないけど、週に1〜2回くらいは話す機会を設けるようにしているよ。で、ブルースは今、やはりLAにいて、一緒に曲を作ったり、よく一緒に行動しているよ。エリックは俺の家にいる。そういえばこの前、ブルースと一緒に「ロキシー」に出たんだぜ。
Q知ってますよ。ラットやモトリー・クルーのメンバーも一緒だったんでしょう?あなたは何を歌ったんですか?[WHOLE
LOTTA LOVE]ですか?
P:いやフリーの[ALL RIGHT NOW]だよ。凄く楽しかったし、皆、気に入ってくれたよ。
Qああいったバンドを続けていくプランはあるんですか?
P:ニッキー(シックス)と、どんなことやろうかと相談しているところさ。皆、トップ・バンドのメンバーだし・・・。
どうせやるなら、ジャム・セッションなんかではなく、ちゃんと”曲”をやりたいし・・・。
Qオリジナル・ソングっていうことですか?
P:それもあるし、古い曲にしてもちゃんとリハーサルしなければならないしね。
Qそのメンバーでレコードを作る予定は?
P:さぁ、どうだろうね・・・。
Qそのスペシャル・バンドには名前はついているんですか?
P:「ロキシー」に出た時は[PARTY NINJAS]という名前を使ったよ。
Qブルースは、かつてスタジオ・ミュージシャンだったという過去があるわけですが、彼は今後もいろいろなアーティストのレコードに参加していくんでしょうか?
P:それが少しばかり問題なんだ。今の彼は”キッスの”ブルース・キューリックなわけであって、そうなればこれまで以上に彼を利用しようとする奴も出てくるのさ。ただのセッション・ミュージシャンではなく、キッスのメンバーが参加しているとなれば、当然そのバンドはいい思いをすることになるよね。成功するための踏み台みたいなものさ。俺だって、他のアーティストのレコードで歌ってもいいけど・・・・。まぁそれも楽しいことかも知れないんだけどね・・・。(笑)
何とポールまでが銀幕の世界に進出!これには少々驚きもしたけど、トレード・マークのあの髪の毛を切る決意までしている程だから、ジーン同様、彼の映画にも大いに期待したいところだ。それにしても[ASYLUM]に続くニュー・アルバムのリリースが5月とは・・・。あと半年も待たされなければならない。てっきり来年早々には発表されるものと思っていた僕は、もう少し新作について詳しい話が訊けるのではないかと思っていたのだが・・・。ジーンのいう”キッス型のスピード・メタル”そしてポールの強調する”キッスらしさ”、加えて久々の外部プロデューサーの起用・・・。これらの要素が重なりあった時、一体どんなものが生まれてくるのか?今、ひとつだけ言える確かなことは、どうあれキッスは、いつも僕達の期待に必ずや応えてくれるということ。それを信じて、とりあえず今は待つしかないね! |